米朝首脳会談キーマン「ソン・キム」の正体 実務者協議の米代表団を率いる外交官
北朝鮮との実務者協議で駐フィリピン米国大使のソン・キム氏が米国代表団を率いているのは、奇妙に思えるかもしれない。だが、同氏の経歴を見れば、きわめて的確な人選だということがわかる。
米ワシントンポスト紙によると、キム大使は米高官2人を引き連れて南北軍事境界線上にある板門店(パンムンジョム)の北朝鮮側施設に入った。キム氏は長年にわたり北朝鮮と韓国の双方と折衝してきた経験を持つ。
一貫してアジアにかかわってきた
キム氏は1960年韓国生まれ。1973年に渡米し、1980年に米国で市民権を取得した後、1988年に米国務省の外交官になった。初任地は香港だ。
現在は大使としてフィリピンに駐在している。キム氏の職務経験は一貫してアジアに関連したもので、これまでにマレーシア、日本を担当したほか、複数回にわたって韓国に駐在。1990年に初めて韓国に異動になった後、2002〜2006年にも再び韓国に赴任し、2011 〜2014年には駐韓米国大使を努めている。
米ワシントンの国務省本省に配属されていたときは、東アジア・太平洋局内の役職に就き、中国や韓国を担当した。
中でも重要なのは、過去に北朝鮮と交渉してきた経験を持つことだ。この点を踏まえれば、キム氏が今回の実務者協議で米国代表団を率いることになったのは、驚くようなことではない。