ウイダーinゼリーから「ウイダー」が消えた日 急成長する「inゼリー」、販売戦略の大転換

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左が3月以降に出荷されている商品。右の旧パッケージでも「in」が大きく表記され、ウイダーのロゴは小さくなっていた(記者撮影)

かつて、「10秒チャージ、2時間キープ」のキャッチフレーズで一世を風靡した「ウイダーinゼリー」。

森永製菓が製造・販売し、1994年の発売以来「ウイダー」の略称で親しまれてきた同商品だが、2018年3月の出荷分から商品名は「inゼリー」(インゼリー)に変わり、ウイダーという名前はひっそりと削除された。パッケージ前面のロゴも森永のエンゼルマークに切り替えられている。

実は数年前から「ウイダー隠し」状態

「消費者の多くは、パッケージの形と目立っている前面の『in』の文字でブランドを判断している」(森永製菓)というだけに、販売への悪影響はほとんどないようだ。

実は広告などでは数年前から「戦略的ウイダー隠し」といえる状況が続いていた。2014年に、栄養別に訴求するパッケージからカロリー別パッケージに大幅リニューアルしたときから、マーケティングに関してはインゼリーという呼び方に統一していたという。販売が振るわなかったためパッケージは栄養別の訴求に戻したものの、呼び方は継続していた。

ゼリー飲料の代名詞となっていたウイダー。このタイミングで商品からウイダーの名前とロゴを削った背景には、「これから全社的に健康系の事業に力を入れていく中で、中心の商品になっていくインゼリーにエンゼルマークをつけて、森永ブランドの認知向上を狙いたい」(同社で健康部門のマーケティングを担当する佐藤実氏)という考えがある。

国内では消費者の健康志向が高まり、関連商品は業界の中でも数少ない成長分野だ。特にインゼリーの販売はここ数年絶好調で、森永の好業績の立役者となっている。

販売については伸び率しか公表されていないものの、2017年度までは3年連続の2ケタ増。同社の健康部門の売上高は、354億円のうち「約7割がインゼリーの売り上げで成り立っている」(会社側)という。健康部門はこの3年間で7割も売り上げを伸ばした。

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