トヨタ、次世代クラウン・カローラの重大使命 「つながるクルマ」になった2大モデルを発表

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一方、コネクテッド以外にも、今回のクラウン、カローラにはもう一つの使命がある。顧客層の若返りだ。

新型クラウンは15代目。1955年に誕生した国内専用の高級車だ。全国のトヨタ店(東京地区は東京トヨタおよび東京トヨペット)で6月26日に発売した。価格は460万6200円~718万7400円。エンジンは2リッター直列4気筒ターボ、2.5リッター直列4気筒ハイブリッド、3.5リッターV型6気筒ハイブリッドの3種類を用意し、後輪駆動(FR)と4駆(4WD)をそろえた。

先代よりシャープな印象が増した新型クラウン(撮影:風間仁一郎)

SUV(スポーツ多目的車)やミニバン、コンパクトカーに人気が集まる中、セダン離れが進んで久しい。ただクラウンは別格だ。売れ筋の価格帯は500万円以上と高額だが、クラウンの登録台数は毎月2500台前後でコンスタントに売れている。「いつかはクラウン」と称され、車を買い替える中で最後にたどり着く高級車の代名詞的な存在として親しまれてきた。60年以上も販売が続く国産乗用車の最古参でもある。

クラウン、カローラは“脱おじさん”を目指す

これと表裏一体なのが、顧客の高齢化や硬直化だ。14代目のフルモデルチェンジではクラウンには似つかわしくないピンク色も発売して若返りを図ったが、不発だった。「クラウンの既存顧客の中でぐるぐる回っていた」と開発責任者は語る。新たな顧客に訴求できなかった理由として、「クラウンはタクシーでしょ、パトカーでしょ、法人の車でしょとの声が返ってきた」という。色が斬新でもクラウンの保守的なイメージが拭えていなかったのが現実だ。

そこで、新型クラウンではひとつの方向に凝縮した。長年看板だったラグジュアリー志向の「ロイヤルサルーン」、スポーティな「アスリート」、ロングな 「マジェスタ」という区分を廃止し、スポーティな外観に一本化。若いイメージで攻めることにした。

カローラシリーズに新たに加わったハッチバック型の「カローラ スポーツ」(撮影:風間仁一郎)

一方のカローラは、1966年に誕生。世界150カ国以上の国と地域で販売累計台数4600万台を超えるロングセラーカーだ。10秒に1台のペースで顧客に届く。今回発売するカローラ スポーツは、今後順次展開する12代目カローラシリーズのトップバッターとなる。

エンジンは1.8リッターハイブリッド、1.2リッター直噴ターボをそろえ、価格は213万8400円~268万9200円。カローラもクラウンと同じく課題は顧客年齢だ。国内では平均70歳に達しており、「12代目カローラは次の50年に向けて若い人に響くようにしたい」と開発担当者は意気込む。

主力2モデルで異例となる同時発表を仕掛けてまで、コネクテッドを前面に打ち出してきたトヨタ。はたして若い世代は反応するのか。新たな一歩を踏み出すクラウンとカローラは、トヨタの“つながる”将来を占う重要な試金石になる。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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