子どもの「本当の才能」を"観察"しない親たち 「好き」や「得意」の延長に"才能"はあるか

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実は才能というのは、表面的に目に見える部分にあるのではなく、その裏にあります。子どもがのめり込むものの「裏」にあるのです。

たとえば、松本さんのお子さんのように野球にはのめり込む子がいたとします。その様子を親が見たときに、「将来はプロ野球選手!」と考える前に、「なぜ、この子は野球が好きなのか?」「野球のどこに魅かれているのか?」という視点を持って少し考えてみましょう。そうするとさまざまなものが見えてきます。

たとえば、友達と一緒にチームワークで作業することが好きだから野球をやっているという場合。チームワークに才能があったりします。その場合、勉強もグループで学習するようにすると見事にやるようになります。

勝ち負けが好きで野球にはまっている場合は、白黒はっきりする勝負系のことが好きです。勉強に目標数値を設定し、目標が超えたら勝ち、超えなかったら負けというようなアプローチをするとはまっていきます。

憧れの野球選手の影響でのめり込んでいる場合もあるでしょう。そのときは、その選手の何に憧れているのかを観る必要があります。その選手の発言や言葉に感銘を受けている場合は、言葉ですから哲学的なことに才能があるかもしれません。その場合は、勉強の意味を話すと心に響く場合があります。

才能を見極めるためには

子どもが興味関心を持ち、はまり込んでいるものの「裏」に隠された才能を見極めるためには観察が必要です。じっくりと観察していると見えてくるのです。

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ただし、才能とはまったくリンクしない場合もあるので注意してください。それは「暇だからやっている野球」です。ほかに遊ぶものがないからただやっているだけ、あるいは勉強しなくていいからやっているだけ……。これが理由であることも、実はあります。もしそうであれば、残念ながら野球の中からは才能を見つけることはできないかもしれません。

そうした場合もありますが、まずはお子さんが「野球の何」に魅力を感じているのか、それを観察してみてください。

そしてその理由に沿う形で、支援を考えていくとよいでしょう。その流れの中で勉強へと自然につながる道が見つかるかもしれません。

石田 勝紀 教育デザインラボ代表理事、教育評論家

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いしだ かつのり / Katsunori Ishida

1968年横浜生まれ。20歳で起業し、学習塾を創業。4000人以上の生徒に直接指導。講演会やセミナーを含め、5万人以上を指導。現在は「日本から 勉強が嫌いな子を1人残らずなくしたい」と、Mama Cafe、執筆、講演を精力的に行う。国際経営学修士(MBA)、教育学修士。著書に『子ども手帳』『子どもを叱り続ける人が知らない「5つの原則」』、『子どもの自己肯定感を高める10の魔法のことば』ほか多数。

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