もう1つは、スタートアップの成長の支えとなるリスクマネーの少なさ。日本のベンチャーキャピタルの投資額は、数年前の4倍近くの年間2000億円レベルに改善しましたが、米国は7兆円、中国は2兆円レベルの資金が毎年投資されています。民間の投資資金が巨大なファンドに集まり、有望な企業にケタ違いの金額で投入されるのです。
しかし、日本では機関投資家をはじめとする投資資金が、ベンチャー投資というアセットクラスに流れ込んではいません。投資資金の流れをつくるためには、大きなキャピタルゲインをもたらす成功例を多数、継続的に輩出する必要があるのです。
そして、もう1つ、グローバル展開で大きな市場を獲りに行くスタートアップが少ないこともユニコーン不足の要因です。国内マーケットで満足する、まず国内で次に海外へと段階的に考える経営者が多く、最初からグローバル市場を目指す企業は少ないことが指摘されています。
官民の支援で、サクセスストーリーを創出する、グローバル展開を応援することで、ユニコーンを創出するのがJ-Startupの狙いです。
継続的な支援を提供
J-Startupプロジェクトは、従前の政策の取り組みへの挑戦でもあります。一般の政策は一定の要件、一定の支援内容、一定の期間を設定して支援するという画一的なスタイルでした。
しかし、J-Startupプログラムは、選ばれた企業に対して、ブランディングを提供しつつ、個別に、不定型で、継続的な支援を提供するプロジェクトです。
ベンチャー支援は1990年代後半から実施され、多くの政策資源が投入されてきました。その結果、開業率が改善し、ベンチャー投資も増加、IPOやM&Aの環境も向上してきました。しかし、ユニコーン創出のためには、従前の環境整備の路線を超える新しい政策アプローチが必要との判断です。
選定企業の要望への個別の対応や民間とのより深い連携プレーでの支援が進んでいきます。プロジェクトでは、選定企業のパフォーマンスを毎年フォローしながら、支援の効果を測定することになっています。数年後、やはりこのプロジェクトは大きな効果を発揮したとの評価が得られるよう官民挙げた挑戦が始まっています。
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