コメダ珈琲、スタバとはまるで違う愛され方 "名古屋人"が全国区になれた居心地の良さ

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コメダの味はどうだろう。フードメニューについて、取材時に各地の店に来たお客さんの声を紹介すると、「カツサンドはフツーにおいしい」(18歳の女子学生)、「味もいいし、量がいっぱいでうれしい」(50代のスポーツ系企業幹部)という意見が目立つ。高級レストランではない喫茶店ゆえ、経験したことのない味ではなく、“ふつうのおいしさ”なのだ。

「コーヒーの味」は割り切る

一方、コーヒーの味は意見が分かれる。「コメダのコーヒーはおいしくない」という意見も確かにあるが、2016年に開業した北海道・札幌の店ではこんな声もあった。

「仕事での出張先でコメダはよく使うが、コーヒーはどこもとんがっていなくて何度飲んでもいいです」(60代の会社員)

オープン時の渋谷宮益坂上店外観(筆者撮影)

偶然だが、この人は筆者の別の取材先の社員(工場長経験者)だった。同社はレストランも数百店規模で経営しており、もちろんコーヒーも提供する。開業日の札幌のコメダ店で、最初に「コーヒーチケット」(回数券)を買った人でもあった。

コメダの「ブレンドコーヒー」は約40年前から、「どこの店で、誰が淹れても同じ味になる」均質化(工場製造)にこだわってきた。800店規模となっても変わらない。

現在はコロンビアなど4種類の生豆を、各豆の特徴を生かして、ある豆は深煎り、ある豆は浅煎りなど7種類の焙煎豆にして抽出する。「味わいでは、力強い苦味とさわやかな酸味が調和しており、雑味や異臭がないのも特徴です」(広報担当者)と説明する。

つまり“コーヒー通”に向けた味ではなく、多数の人向けの“割り切った味”といえる。嗜好品なので好みは人それぞれ。京都の老舗珈琲店のコーヒーが好きという人(50代の来店客)でも、コメダのコーヒーは好きという人もいる。最近では「ブラックですっきり飲みたい」人に向けて「コメ黒」という名のコーヒーを開発。今年から全国展開を始めた。

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