コメダ珈琲、スタバとはまるで違う愛され方 "名古屋人"が全国区になれた居心地の良さ

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コメダ東札幌5条店の間仕切り席(筆者撮影)

それは創業者の加藤太郎氏(現珈栄舎社長)のめざした道だ。「コメダは、喫茶店を自宅の居間や会社の応接室の延長線上で使う名古屋のお客さんと向き合ってきた」と話した加藤氏は、コメダの役割を「気軽に飲食できて、くつろげる場所」と位置付けた。以前の取材では「コメダは喫茶業の業態を取っているが、その本質は“貸席屋”」とも語った。

総じて“名古屋人”は見栄っ張りだが、カッコつける店を好まない。名古屋発で、東京でも成功した飲食店の大半は、気軽に行けて使い勝手のよい店だ。たとえば、国内で約1300店を展開する「カレーハウスCoCo壱番屋」(ココイチ、祖業は名古屋市西区にあった喫茶店「バッカス」)もコメダと似た店舗哲学だ。スタイリッシュにしないで1000円前後で利用できる。「コメダ=気軽に行ける喫茶店」「ココイチ=気軽に行けるカレー店」なのだ。

飲食では「名古屋はケチじゃない」

コメダのフードメニューの分量は多い。これも消費者に支持された理由の1つだ。

飲食関連の取材を続けて感じるのは、ヒトの「食べ物へのウラみは根深い」こと。「店のメニューを見て、期待して頼んだら、思ったより量が少なくてガッカリ」という体験を持つ人は多いだろう。たとえ店の名前は忘れても、その思いはいつまでも記憶の片隅に残る。

名古屋地区の店で、メニューのイメージよりも大幅に少量の品を出したら、早い段階で淘汰されてしまう。昭和時代から、名古屋では飲食メニューをドカンと出す気風だった。この視点は、合理的に飲食店を使い、コスパ重視の名古屋人を相手にしないと身に付かない。

コメダの「モーニング」例(写真:コメダ)

喫茶店の「モーニングサービス」に象徴されるように、もともと名古屋の人は “オマケ”好き。コーヒー代で店内の新聞や雑誌が読めるのもオマケで、分量が多いのもオマケなのだ。とかく「ケチ」と言われる名古屋だが、飲食では「名古屋人はケチじゃない」とアピールしているとすら思える。筆者も10代まで当地で暮らし、オマケ文化に親しんできた。

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