コメダ珈琲、スタバとはまるで違う愛され方 "名古屋人"が全国区になれた居心地の良さ

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放送メディアでも時々解説するが、筆者は「カフェ」の成り立ちを「基本性能」と「付加価値」に分けて考えている。最後にこの視点で、コメダの強みをまとめてみよう。

(1)「基本性能」=飲食の味。場所の提供

(2)「付加価値」=その店ならではの独自性

コメダが競合よりも圧倒的に強いのは (1)の中でも「場所の提供」だ。コーヒー代が1杯400円台であっても、フルサービス(店員が注文を取りに来て、飲食も運んでくれる業態)の喫茶店で、落ち着けるソファに座り、ゆっくり過ごしたい客層に支持されてきた。

(2)の付加価値は、競合店によってさまざまだ。コメダの場合は「モーニングサービス」や「新聞・雑誌の読み放題」などもある。ただし後者は、インターネットの重要性が増すにつれて、以前よりも訴求力が落ちてきた。現在は同時並行して「座席横のコンセント設置やWi-Fi接続」に注力している。

「スタバは、ウチとは関係ない」

総務省の「家計調査」として知られる「1世帯当たりの喫茶店代」の支出金額(都道府県庁所在地・政令指定都市別)で、毎回首位を争うのが、名古屋市と岐阜市だ。3位は東京23区(東京都)が定番だが、この両市とは金額で大きな差がついている。

名古屋市も岐阜市も、自分たちでカフェ・喫茶店を使う一方、お客さんが来ると、「コーヒーでも飲みに行こうか」と連れ出す。この“カフェ連れ出し文化”は他地域ではあまり見かけない。そうした土地柄で、「コメダに行くか」と選ばれてきた歴史がある。いずれくわしく説明するが、郊外型店舗を駐車場から設計するのもコメダの店舗哲学だ。

スターバックスが名古屋に進出した際、社長だった加藤太郎氏は、こう話したという。

「あれはウチとは関係ないな」

コメダがことさらスタバを意識した経緯は見られないが、独自路線で、スタバとは真逆の道を歩んだ結果、「昔ながらの喫茶店」として各地方でも受け入れられていったのだ。

高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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