駅前「中野サンプラザ解体」新区長でどうなる 解体・再整備計画の見直し訴えた新人が当選

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中野のシンボル、中野サンプラザ。この日もイベントがあるようで、建物前の広場は人でにぎわっていた(筆者撮影)

中野サンプラザでは2017年に計198日間音楽公演が行われ、その6割がアイドルを含む日本人のポップスとなっている。また、ホールの大きさからアイドルの登竜門的存在とも言われており、ここを埋めることができればブレークするとも言われる。そういった意味で外苑前にある日本青年館と共に「アイドルの聖地」と言われることもある。

このように中野の象徴的な施設であるだけに、再整備に伴う解体に対してはサンプラザ中野くん氏がサンプラザのシンボル性を残してほしいと発言したほか、周辺の商店街の経営者などからは改修はともかく解体案に対する反対の声が聞かれる。

このような声が聞かれる事情としては、区民不在のままでプランが作り上げられてきたとの印象を持たれていることがありそうだ。再整備にあたっての区民会議はわずか3回。確かに、中野区や区が出資する企業が持つ土地のため、区が計画をリードするのはわかりやすいとはいえ、現在も多くの人に利用されている施設を解体してまったく新しく「中野の顔」となる施設を造ろうというプランに対しては、感情的に賛成しづらいのは当然かとも思われる。そうしたことが区長選の争点になった要因といえそうだ。

新施設は1万人規模のアリーナ

中野区役所・中野サンプラザ地区再整備計画について、中野区は「2004年の(まちづくり中野21への)施設譲渡時から再整備を念頭においている」という。まちづくり中野21が施設を取得した時からすでに再整備を検討し、十分時間をとって方針や構想を練ってきたという見解だ。

確かに、中野駅周辺の再開発の計画は中野駅周辺のイメージとなる「中野駅周辺まちづくりグランドデザイン」の更新とともに何度も変わってきた。中野区役所と中野サンプラザの一体開発は2014年に示され、1万人規模のアリーナについては2015年に提案された。アリーナについては当初「不可能ではない」としつつも、いつしか既定路線へと変わっていった。

そして現行のプラン「中野4丁目新北口地区まちづくり方針」が出たのは今年3月のことだ。2023年に新区役所が完成した翌年の2024年から現在の区役所が解体できるとし、その前後にサンプラザも解体するとの方針が打ち出され、今回の区長選の争点となるに至っている。

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