グーグル社員の猛抗議が問う「軍事AI」の是非 AI活用原則を発表、国防総省と契約更新せず

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国際人権団体・ヒューマンライツウォッチの武器部門でアドボカシーディレクターを務めるメアリー・ウェアハム氏は、「グーグルの公約は歓迎すべきこと。完全に自動化された兵器の開発に荷担しないことにコミットするよう、アマゾンやマイクロソフトなど他のテクノロジー企業も巻き込んでいくことをグーグルに働きかけていきたい」と述べた。

グーグル社員と同様に、ピチャイCEOやグリーン氏、そしてクラウド部門でAIの主任研究員を務めるフェイフェイ・リー氏らに公開書簡を送ったNGO(非政府組織)「ロボット兵器管理国際委員会(ICRAC)」の共同創設者、ピーター・アサロ氏は、「指針を出したこと以上に、グーグルがそれをどう実行していくかが重要。企業として、開発したシステムの透明性を示さなければならない。良心を持った社員が(辞職などの)リスクを冒す事態になってはいけない」と指摘する。

社会的責任と収益をどう両立するか

5月に米国本社近くで開催された年次開発者会議「I/O(アイオー)」では、例年以上にAIの可能性が喧伝された。多くのグーグル幹部や社員たちが「AI for Everyone(皆のためのAIを)」というメッセージを強調。難病の画像診断や障害者のコミュニケーション支援、自動運転サービスのほか、さまざまなグーグルのサービスがAIによって機能を向上させていることが披露された。

年次開発者会議「I/O」では、ダイアン・グリーン氏(右)やフェイフェイ・リー氏(中央)らがAIの可能性について議論する場が設けられていた(記者撮影)

確かにグーグルは社会の役に立つ技術を多く開発してきた。だが、実際に大半のおカネを生んでいるのは広告ビジネスであり、次の収益柱として育てているのがクラウドビジネスだ。社会的責任と収益の追求は時に衝突する。

「技術は前へと進む推進力である一方で、そこばかりに目を向けてはいられない。物事が正しい方向に進んでいくために、深い責任を感じている」。ピチャイCEOは会議の基調講演でそう語っていた。

AIなどのテクノロジーがかつてない速さで進化する中、先駆者であるグーグルに課された役割は決して小さなものではない。

中川 雅博 東洋経済 記者

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なかがわ まさひろ / Masahiro Nakagawa

神奈川県生まれ。東京外国語大学外国語学部英語専攻卒。在学中にアメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校に留学。2012年、東洋経済新報社入社。担当領域はIT・ネット、広告、スタートアップ。グーグルやアマゾン、マイクロソフトなど海外企業も取材。これまでの担当業界は航空、自動車、ロボット、工作機械など。長めの休暇が取れるたびに、友人が住む海外の国を旅するのが趣味。宇多田ヒカルの音楽をこよなく愛する。

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