グーグル社員の猛抗議が問う「軍事AI」の是非 AI活用原則を発表、国防総省と契約更新せず

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グーグルのクラウド部門を率いるダイアン・グリーン氏は7日の声明で、「国防総省との契約を打ち切るようグーグルに求める声が相次いだ。われわれはメイブンのプロジェクトに関する契約更新はしない」と述べ、2019年で契約を終了することを明らかにした。

一方で武器用のAI以外の分野では、政府や軍との取り組みを続けることを強調。サイバーセキュリティや生産性向上のツール、医療などの分野を挙げている。グリーン氏は同じ声明の中で、「(メイブンの)契約を検討していた当初から、われわれのクラウドやAIがどのように使われるべきかを明示した指針の必要性を感じていた」と述べている。すでに契約締結からは9カ月ほどが経過しているが、なぜこれだけ時間を要したかは明らかになっていない。

クラウドビジネスの争いが過熱

政府や軍の案件は、大規模な受注が見込めるとして多くのクラウド事業者が目をつけている。世界シェアトップの「アマゾン・ウェブ・サービス(AWS)」を展開する米アマゾンや、同2位の米マイクロソフトは両社とも米国政府や国防総省専用のデータセンターを抱えるほどだ。これら2社を追いかけるシェア3位のグーグルが、国防総省案件の拡大を狙ったとしても不思議ではない。

国防総省は現在「JEDI(ジェダイ)」と呼ばれる、大規模なコンピュータ環境のクラウド移行プロジェクトを進めており、一大ビジネスチャンスが転がっているのは明らか。さらに同省のイノベーションに関する助言機関には、グーグルの親会社・アルファベットのエリック・シュミット元会長(現テクニカルアドバイザー)やグーグルの幹部が名を連ねている。

グーグルのクラウド部門トップのダイアン・グリーン氏は昨年の取材で、将来のクラウド事業は同社の主収入である広告事業をも超えていくことも示唆していた(撮影:風間仁一郎)

グーグルのクラウド部門の売上高は昨年初めて、四半期決算で10億ドルを超えた。前出のグリーン氏は昨年、東洋経済の取材に対し「5年以内にクラウド市場を制する」と断言。拡大に向け、鼻息は荒い。

実際、あるグーグル社員は「メイブンに関しては社内で意見が二分されている。絶対に荷担してはならないという主張がある一方、ある程度は仕方がないという意見もある。他社も含めてさまざまな形で国防総省に協力しており、線引きは難しい」と話す。別の社員からは、「基本的に米国人で成り立っている会社ではない。自社の技術が実際に軍事利用されれば、激しく反対するのは当たり前」との声も聞かれる。

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