東京駅「日本百貨店さかば」の斬新な仕掛け 主役は「丸亀市」と「西伊豆町」の生産者

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確かに、今は生産者発、地域発といったサービスは増えてきている。地方自治体のアンテナショップが方々にできているほか、生産者が地域食材を販売するマルシェも盛んに行われている。また期間ごとにさまざまな地域の食を紹介する「るるぶキッチン」も記事(「るるぶ」経営のレストランは何が新しいのか)で紹介した。そのため、日本百貨店さかばの提供するサービスは目新しいとまでは言えないかもしれない。

作っている人が参加できる場所にしたい

鈴木氏は同店を「人が主役の、出会いの場」とすることで、差別化を図りたいという。

「日本百貨店も、日本のいいモノを作っている人に注目して、その商品を東京や全国に紹介したいという発想で始めた事業です。その飲食店版である日本百貨店さかばも、人が主役。作っている人が参加できる場所にしたいと考えました」(鈴木氏)

店内の様子(写真:日本百貨店)

それを示すのが、毎月1回行われている「つながる」と題されたイベントである。生産者やバイヤー、メディアなどを招いた異業種交流会で、この日は食材の生産者自身が厨房で調理をしたり、食材について説明を行う。

また店舗が休みである土曜日にも毎週イベントが開催されており、こちらでは生産者をはじめ、「豆腐マイスター」「かつおぶし職人」といった飲食の専門家が、参加型のレクチャーを行っている。土曜日のイベントについては参加自由で、現在は広く宣伝をしていないため、定員も特に設けておらず、飛び込みでも参加できるそうだ。

日本百貨店社長の鈴木正晴氏(編集部撮影)

「皆さん、自分が作ったものについて話したいことがたくさんあるんですよ。そして説明されれば『食べてみたい』となりますよね」(鈴木氏)

ふだんの営業でも食材についてお客に丁寧に説明するよう心掛けているそうだ。これは物販業態で大切にしている姿勢でもある。

「地方を回って、扱わせてもらうためにメーカーと話をつけてくるのはだいたい自分です。ですからまずは自分から販売スタッフに商品について丁寧に説明します。でも必ずスタッフも出張して、メーカーの方と人間関係を作ってきてもらう。そのつながりがベースになっているから、商品についての説明にも熱意がこもります」(鈴木氏)

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