崎陽軒、「シウマイバル」出店の意外な狙い そこにはあふれんばかりの横浜愛があった
吉野家を始めとする牛丼屋をはじめ、立ち食いソバのチェーンでも夜の時間帯にアルコールを提供する店が増え始めている。いわゆる「ちょい飲み」である。そんなさなか、シウマイで有名な崎陽軒も東京駅に直結する東京駅一番街に、昨年11月の終わりに、ちょい飲みのできるお店「シウマイBAR(バル)」を出店し、話題となっている。
崎陽軒は、その名を耳にすると、♪おいしいシウマイ~崎陽軒~♪というメロディーが自然と頭の中にこだまするほど、東京や神奈川の人間にはおなじみの店だ。しかし、実は関東以外ではその存在を知らない人も少なくない。そこで、まず崎陽軒とはどういう会社か、簡単に説明をしておこう。
1日2.1万食!バカ売れし続けるシウマイ弁当
1908年創業の崎陽軒は、神奈川県の県庁所在地・横浜市発祥の、シウマイおよび弁当を製造・販売する会社である。創業当初は、横浜駅(現在の桜木町駅)構内で飲み物や軽食を扱う売店として始まり、その後駅弁の製造・販売へと事業を広げていった。
しかし、1923年に起きた関東大震災で大きな被害を受け、経営が危機に陥る。その事態を打破するために、当時まだ名物のなかった横浜の名物として、中華街の突き出しとして出されていた「焼売」に目をつけ、ホタテの干し貝柱を使った、冷めてもおいしいシウマイを考案。以降、横浜といえばシウマイ、シウマイといえば崎陽軒として、確固たるブランドを築き上げてきた。
現在は神奈川県を中心に、シウマイや弁当販売とレストランを展開。シウマイ、弁当の取り扱い店舗は神奈川・東京を中心に150店舗に上り、同事業の売り上げ構成比は全体の8割以上を占める。同社の2016年2月期の売上高は220億円と、前年比4%伸びている。
さて、突然だが、日本でいま一番売れている駅弁は何か、ご存じだろうか? 統計の取り方がさまざまで、「これだ!」と誰もが納得するものを決めるのは難しいが、実は崎陽軒のシウマイ弁当がNo.1の最有力候補のひとつなのだ。
崎陽軒のシウマイ弁当の販売数は、1日実に約21000食。その出荷数は、年々増加しているというから、弁当大国日本を代表する弁当中の弁当と言っても過言ではない。そんな崎陽軒が昨年11月に東京駅に、新業態として出店したのが、シウマイバルである。
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