《覆面座談会》揺れる保険業界--不払い問題で激変、翻弄される保険代理店のホンネ
だから私の代理店では、取り扱う商品構成が変わってきています。基本的にはうちを含め代理店の多くが自動車保険に依存しているのですが、自動車で減る分を傷害、新種、生命保険などで補う代理店が増えているようです。
丙氏 私の代理店でも同じ現象が起きています。手数料率が下がり経営を圧迫しているから、どうしても儲かるものから先にやっちゃう。こんなことでいいのかなと、考えてしまいます。
乙氏 「ミニ支社化」のように、スケールメリットを生かせるインセンティブ体系ができて代理店の収益が上がるようになると、おもしろい仕事ができる気がするんですが。
甲氏 同感です。代理店としていちばん効率がいいのは、営業のプロ集団として一人ひとりが顧客単価を上げていくこと。ただ、そうすると細かい契約の仕事は後回しになって大きな契約を狙うようになります。そのため、リテールより中小企業に向かって営業をかけていきますが、お客が倒産するリスクを代理店が背負うことになりますよね。これが今の代理店では厳しいんです。
--これだけは言っておきたいことをお願いします。
丙氏 手数料をこれ以上下げないでほしい! 代理店を法人にしただけで手数料ポイントが上がったり、節操なくレギュレーションを変えるのはやめてほしいものです。代理店を設立してから10年以上が経ちましたが、夜が明けるまで仕事をすることもあって、自分は何をやっているんだろうと思うことがあります。お客様からの「ありがとうございました」の言葉に支えられていますが、これ以上下がったらやっていけません。
乙氏 会社は顧客満足度アンケートを取っていますが、回収率はせいぜい2~3%。アンケートを経営に生かすのはいいことですが、代理店の手数料ポイントに反映するには回収率が低すぎます。
専業販売代理店チャネルをこれからも、ずっと公平に扱ってほしいというのが保険会社への希望ですね。
甲氏 現在は旧体系と新体系とがごちゃまぜになっている状態。どちらが生き残るかは明白です。世代交代もしていかなければなりませんが、ビジネスモデル、これをやったらうまくいくということがない業界でもあります。代理店の経営方針、進むべき道を模索しながら経営していかなければなりません。
だからこそ私は、失った信用を取り戻して、保険会社に強くなってほしい。世間からの信頼はまだまったく回復していない。保険会社の職員の中には萎縮し気を病んでいる人も多い。保険も専業代理店も絶対に必要なんですから、早く元気が出るようにしてほしいと痛切に感じています。
(生保・損保特集編集部)
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