《覆面座談会》揺れる保険業界--不払い問題で激変、翻弄される保険代理店のホンネ

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 乙氏 うちも同じですね。ここ数年の間にいろんなことが明文化されました。「マニュアルにのっとっていることですから」とお客様を納得させやすくなりましたよね。

 甲氏 ただ、簡単な案件はマニュアルがあったほうがやりやすいけれども、マニュアルどおりにいかない難しい案件もあります。そういう案件については、事前の報告義務が徹底されていますから、社員に問い合わせて指示を仰ぐわけですが、以前は担当者の力量ですぐに返答してくれていたものを、現在は担当者も上層部に上げるので、答えが戻ってくるまでに時間がかかってしまうんです。その間にお客様が別の代理店に行ってしまうということも。難しい案件、つまり高額な案件ほどやりづらくて時間がかかる。結局、保険料を多く支払っていただいている優良契約者の方ほど負荷がかかることになります。

--情報システムの刷新で代理店に混乱が生じているという話を聞いたのですが。

 乙氏 新システムに対応した新商品と既存の商品が混在した過渡期なので、新しい画面に慣れていないことに起因する問題はそれなりにあると思います。ですが、2年もすれば解決する問題ですよ。

大きな問題があるとすれば、IT化の流れに乗れない代理店です。自分だけではIT化できないというのであれば、IT化できる人を雇ってでも対応していかないとね。特殊な業界で伝統を守るというのなら別ですが、保険の業界で変化に対応できないというのは……。

 丙氏 たとえば「連絡はメールで」というときに「FAXで」という人がいたら業務上非効率ですよ。コストダウン、業務効率化という点でIT化は絶対に必要です。

--後継者不在や規模、IT化の遅れ等を理由に、中小規模代理店の吸収合併や廃業の動きがあるようですね。

 丙氏 中堅代理店が4~5店集まって合併するというのは、収入保険料規模によって手数料ポイントが決まるので、手数料ポイントを上昇させるために合併しているということではないでしょうか。

 乙氏 それに現在の代理店には質と量の問題もあって、契約数だけはあるけれどもIT化が遅れている、商品の知識を持っていないなど保険会社が放っておけない欠点があって、自発的な合併ではなく、会社主導で合併させていることも考えられますよね。

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