《覆面座談会》揺れる保険業界--不払い問題で激変、翻弄される保険代理店のホンネ
【出席者】
甲氏 先代である父親から代理店を受け継いで経営。自動車の割合を5割以下に下げる目標も。
乙氏 代理店として独立して20年超。現在はプレイングマネジャーとして代理店を運営。
丙氏 代理店として独立して10年超。主力は自動車だがクロスセルで生保に注力。
--保険金不払い問題によって行政処分される前と後で、損害保険会社と販売代理店間の関係が変わったなと感じることはありますか?
甲氏 損保の社員も代理店側も、やらなければならない業務が増えたように感じます。お互い時間が足りないことで、打ち合わせ時間が減りましたね。社員と代理店のつながりが薄くなっているような気がします。
丙氏 私の場合、社員との打ち合わせは最低でも月3回、接触度は高いですよ。不払い問題前後の変化ではなく、担当者によって違うのではないでしょうか。ある代理店の人が「放っておいてよ」と担当者に言ったら、担当者がまったく来なくなったという話を聞いたことがありますから。
乙氏 私も、担当者との接点が減ったなと感じたことはありません。ただ、これまではお互い「暗黙の了解」で進められていた業務が、「ルール、マニュアルどおりに絶対に実行しなければならない」という厳格な体制の中で、進められるようになりました。社員と代理店の間にグレーゾーンがなくなりましたね。
--法令順守の徹底で、販売代理店の方々は仕事をやりやすくなったのでしょうか。
甲氏 うちはやりやすくなりましたね。お客様がムリを言わなくなりましたから。たとえば「決算書を提出してください」と言うと、昔は「出したくないな」と言うお客様もいたんです。出したくないと言われたらそこはお客様優先で、提出書類の不備をナァナァで済ませていた部分がありました。ですが、昨年あたりからマニュアルが徹底されて「マニュアルからはずれたものは一切受け付けませんよ」とお客様に言い切ることができるようになりました。保険会社の社員も行政処分される前と後ではまるで別人ですよ。社員も自分の身を守るのに必死なんでしょうね。