「ママ友」がいなくたって子育てに支障はない そんなことで劣等感を持つのは間違っている

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育児中の私は忙しく、そして人見知りしましたので、「お付き合い始めの最初のママ友レベルの会話」で一定期間付き合うのが苦手で、欲してもいませんでした。幼稚園や小学校での行事などの参加ではいつも一人でいましたが、ほかのママたちとはあいさつを交わすだけで、私自身は十分でした。そして子どもたちはそんな親の付き合いの悪さとは無関係の次元で、いろんなお友だちと遊んでいたように思います。

つまり花だるま様がママ友を欲しければ、スーパーでよく顔を合わせる同年代の子を育てているママや公園デビューをしたときに気の合いそうな人と会えば、「皆さんより遅く出産したこともあり、ママ友がまだいません。何か良い情報があれば教えてくださいね」などと、オープンな心で声をかけていくのも一方法です。お友だちになるきっかけも、待っているだけではできにくく、ウマの合うママとの出会いも、最初は軽いあいさつや会話から始まるのです。

ここで重要なことは、ママ友と呼べる人と出会わなくとも、「自分の性格が暗いせいだ」と悩まないことです。私は後年、何人もの人と話しましたが、「忙しい」とか「気の合う人がいなかった」などの理由で、ママ友なしで育児した人は、ザラにいました。「みんなと同じ」「群れていることで安心」できる考えほうが多くのリスクをもっているのは、この場合も例外ではありません。

完璧な育児法などない

「やり直せるものなら、育児をやり直したい」という人は、本当に多いです。傍目からは立派な育児をされたかに見える親御さんたちも、例外ではありません。私は育児経験者で、「完璧に育児ができた」と言う人に、お目にかかったことはありません。

そして私も、その思いでは誰にも負けません。しかしその時その時は精いっぱいに養育してきた自負がありましたので、「完璧な人がいないのと同じ」という、居直り精神で生きてきました。それが「親である私自身がもっと育児に対する情報を集め学び、もっと育児に対する意識や知識を高く持って親として賢く、そしてもっと大きな視野を持って育てるべきだった」と自責の念でいっぱいになったのは、60歳を過ぎてからです。

「知る人ぞ知る」話ですが、拙著『一流の育て方』を編んでいた時のことです。「勉強しなさい」と親から言われたことがなく、それでいて自主的に向学心を持ってさまざまなことを学び体験し、正義感あふれ人柄もよさそうで優秀に育った大学生や社会人が振り返って、「今、自分があるのは、親の家庭教育のおかげだ」と異口同音に感謝していることを知った時です。がむしゃらに育てることに精いっぱいで、その家庭教育の多くは私ができていないことでした。

精いっぱい努力したと居直るのは簡単ですが、彼らが受けた教育のいくつかでも私がまねすることができていれば、「もっといい子」に育っていただろうにと、わが子に申し訳なさでいっぱいになりました。しかしながら親の多大なる協力で、いわゆる勝ち組に子どもさんたちを入れた親御さんでも、もっと伸び伸びと子どもを遊ばせてやる時間があったらばという悔いがあるかもしれず、完璧な育児をしたという人がおられれば、ぜひお話を伺いたいと思う私です。

次ページ人は誰でも、明暗・強弱点を持っている
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