48歳「市の臨時職員」、超ブラック労働の深刻

勤続10年以上で年収は190万円に届かず

現在は両親と同居。自分の雇用形態や給与については詳しく話していない。自宅から電車の最寄り駅まで、バスなどを乗り継いで1時間以上かかるため車は必需品だと言い、車両の維持費や実家に入れる「家賃」などを差し引くと、貯金をする余裕はない。「1人暮らしは到底無理」。

結婚については「願望がないわけではありませんが、今のままでは(相手に)絶対に迷惑をかけます」と躊躇する。結婚する場合、共働きが条件となる。ヨシツグさんは「生活のために働いてもらわなくてはならないというのが、どうにも申し訳なくて。どこかに、“家計を支えるのは男”という古い考えの自分がいるんだと思います」と分析する。

また、子どもを持つことは「ギャンブルでしかない」と言う。「今の仕事だっていつまで続けられるかわからない。その先はもっとわからない。(非正規労働者にとって)子どもを育てることは、危険すぎるギャンブルです」。

現在も定期的にハローワークに通うなど就職活動を続けている。条件は「生活できるだけの給料と、うつ病にならない程度の(業務の)密度」。誰もががむしゃらに働き、仕事で自己実現したいと思っているわけではない。ヨシツグさんの希望は当然で、簡単なことのはずなのに、実際にはこれらの条件を満たす仕事を見つけるのは難しいのが現実だ。

「労働組合には不信感しかない」

ヨシツグさんに話を聞く中で、どこまでも平行線をたどった話題がひとつあった。職場の労働組合をめぐる評価である。

実は、ヨシツグさんの給与は今年4月から大幅にアップした。年収で約20万円の増加。自治体の正規職員らでつくる労働組合が市と交渉した結果だという。しかし、彼は「労働組合には不信感しかない。まったく信用していない」と突き放す。なぜなのだろう。

「(勤続1年目で)賃下げされたとき、労働組合に匿名で投書をしたのですが、無視されました。世間で“非正規の待遇がひどい”と騒がれるようになってようやく動くなんて遅すぎます。それに、今回は(一部の嘱託員など)賃金が上がらなかった職員もいます。それなのに、労働組合はまるで非正規職員全員の賃上げを勝ち取ったかのように、ビラなどで大々的にアピールしたんです」

ヨシツグさんによると、給与は今回の賃上げにより、10年前の水準に戻ったにすぎない。一方で職場の労働組合に加入している非正規職員はゼロで、彼自身も組合員ではないという。

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