東横線跡の新施設は渋谷をどう活性化するか 渋谷から代官山へ結ぶ東急の新プロジェクト
渋谷駅側から見て、渋谷ストリーム建設地の先には、かつて渋谷川の流れに沿うようにして高架上を東横線が走っていた。高架撤去後、並木橋交差点付近には高架の橋桁が残置されているが、今後の活用については検討中とのことだ。
この渋谷川沿いのエリアでは、官民連携により清流復活水を活用した渋谷川の再生事業と、川沿いに約600mにわたる遊歩道の整備が進められている。
遊歩道の先にある並木橋交差点付近から、東横線跡地は大きくカーブして代官山方面に向かうが、このカーブした敷地を活用して建設を進めているのが渋谷ブリッジだ。渋谷ブリッジは並木橋側のA棟と、代官山側のB棟の2棟から成り、A棟には保育所型認定こども園、B棟にはホテル、事務所、店舗が入居する。B棟のルーフトップテラスに上がって代官山方面を眺めれば、JR線の線路を挟んだ向こう側に、同じく東横線線路跡地を利用して2015年4月に開業した商業施設「ログロード代官山」を目に納めることができる。
さて、この渋谷ストリームと渋谷ブリッジの開発は、今年3月27日付で公表された東急電鉄の中期経営計画にも明記されている「Greater SHIBUYA(広域渋谷圏)構想」に基づいて進められている。この構想は、渋谷駅周辺のみならず、原宿、表参道、青山、恵比寿、中目黒、代官山といった周辺エリアも含めた”面”を意識した街づくりを行い、人の流れを作り、広域エリア全体として活性化を図っていこうというものだ。
実際、渋谷と原宿の中間に渋谷キャストが昨年オープンしたことで、以降、互いのエリアを行き来する人の流れが増加したという。渋谷ストリームと渋谷ブリッジの開発には、渋谷と代官山間でも同じ効果が現れることが期待されている。渋谷川が清流となり、清掃工場に隣接し、ともすれば暗いイメージのエリアに明るい商業施設がオープンすれば人の流れは自ずと生まれるだろう。
渋谷ストリーム
各施設をもう少し詳しく見ていこう。まず、渋谷ストリームの事業コンセプトは「クリエイティブワーカーの聖地」であり、クリエイティブワーカーに選ばれるビジネス環境を創出することなどを事業の柱としている。
オフィスゾーンに関しては、上述したとおり全フロアがグーグル社の本社機能になることが決まっている。この点について、渋谷区の長谷部健区長は、今年2月の取材時に「家賃高騰等もあり、ベンチャー系が渋谷から離れているが、グーグルのような基幹企業を中心に再度、渋谷に集結することを期待している」としたうえで、「東急電鉄が(2018年9月の施設オープン後、2019年のグーグル本社移転まで空きオフィスになるなどの条件もある中で)渋谷ストリームのオフィスをグーグルに全フロア1棟貸ししてくれたのは、大英断だと思う」と評価した。
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