東横線跡の新施設は渋谷をどう活性化するか 渋谷から代官山へ結ぶ東急の新プロジェクト

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ちなみに、すでに開業している渋谷キャストも含む渋谷駅周辺再開発7大プロジェクト全体で、およそ27.2万㎡のオフィスが新たに創出されるが、この新たなオフィス群に入居予定の企業の中には、2019年秋冬をメドに「渋谷スクランブルスクエア」内に本社機能を含むオフィス機能を集約することを決めているミクシィや、同じく渋谷スクランブルスクエア内に広告事業部門やグループ会社を移転させるサイバーエージェントなどのクリエイティブ・コンテンツ制作企業も含まれている。

次にホテルゾーンには、東急ホテルズが運営する「渋谷ストリームエクセルホテル東急」が9月13日にオープン予定であり、6月1日より宿泊予約受付を開始する。同社のエクセルブランドでの開業は10店舗目となる。

客室は全177室で、主力の客室タイプ(124室)は決して広くはないが、古き良きものを現代風にアレンジした「ヴィンテージモダン」を表現した内装の客室は上質な雰囲気だ。

そして、にぎわいの中心となる1階から3階の商業ゾーンは約30店で構成され、人気店の新業態や日本初上陸の店舗などが集まり、話題を呼びそうだ。商業ゾーンの特徴は、「渋谷駅南側は街中に個性的な路面店が点在するエリアであり、このエリア特性を踏襲し、営業時間・空間利用が路面店のように自由でクリエイティブな商業ゾーンを計画した」(東急電鉄・渋谷戦略事業部課長補佐の杉本里奈氏)という。

また、商業ゾーンの主なターゲットとしては、「渋谷駅周辺 にはIT産業が集積し、仕事と遊びがボーダーレスな、自由なスタイルで働くワーカーが多く存在する。既成のルールにとらわれず、自由に働き方やライフスタイルをアレンジできる"自由な大人たち"をイメージした」という。しかし、数年前までIT産業に身を置いていた筆者としては、日本のIT企業の多くは、いまだに労働集約型産業であり、東急が掲げるコンセプトに、IT産業側が早く追いつかなければならないのではないかとも思う。

渋谷ブリッジ

一方、渋谷ブリッジは渋谷ストリームと比べると全体的にこぢんまりとした施設だ。3階建てのA棟には保育所型認定こども園「渋谷東しぜんの国こども園」(定員:114名)が開園し、1階には地域の人々が立ち寄れるカフェや子育て支援スペース、ワークショップなどが開催可能な情報発信スペースも設けられる。

渋谷ブリッジA棟自由通路イメージ(写真:東急電鉄)

また、7階建てのB棟にはシンクグリーンプロデュースが運営する「マスタードホテル渋谷」(客室数:76室)が入居することが決まっており、すでに10月1日以降の予約受付を開始している。同社はログロード代官山の基本計画に携わり、出店もしている企業だが、ホテル事業は今回が初出店ということで実力は未知数だ。東急電鉄からの情報によれば、ドミトリーから個室まで備えたさまざまなニーズに対応できるホテルにするという。

渋谷ブリッジB棟渋谷駅側外観イメージ。自由通路は渋谷川の遊歩道と直結する(写真:東急電鉄)

ちなみに、かつてこの場所を鉄道が走っていた記憶を次の世代に引き継ぐための施策として「渋谷ブリッジのロゴマークは鉄道標識をイメージした菱形にデザインした」(杉本氏)というが、やや弱いなという印象は免れない。ログロード代官山では施設サインや土止めなどに枕木などの廃材を活用したほか、線路をモチーフとしたロゴを採用するなど、より強いメッセージを発信している。

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