「ギリギリまで粘れ」という人の誤った達成感 霊感が降りてくるのを待つというムダ

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木村さんは32歳、日系部品メーカーで営業企画の仕事をしています。自社の商品を卸先となるメーカーさんの要望に沿った形で、デザイナーさんや技術者さんと協同して提案していくのが木村さんの仕事です。

提案の際には必ずコンペがあるのですが、このコンペの内容をどうするのかを木村さんの上司である川口さんはギリギリまでかためないのです……。

そのため、締め切り前日はいつも徹夜になってしまいます。時として、土日も出勤になってしまい木村さんはたまったものではありません。

企画は粘らなきゃだめ!?

なぜ、上司は企画を最後までかためないのか……。そう、上司は、

粘れば今より良い最高のものができるはず……!

と信じていたのです。

とはいえ、上司は前もって何か準備をしているわけではありません。上司が動きだすのはいつも直前です。

なぜ直前に動き出すかと言えば、霊感が降りてくるのを待っているからです……。何かすごいインスピレーションが降りてきて、企画をより良くしてくれると信じているのです。

そのため、上司は常々、

「企画は粘らなきゃだめだ!」

と部下に伝えていました。

しかし、部下の木村さんにすれば上司は、時間管理ができてないおじさんです。とはいえ、上司は上司なりに最高のものを作り上げようと頑張っています。

ここで「ギリギリまでやる必要ないんじゃないですか?」といったことを口に出してしまうと、質が低くてもいいと言っているように受け取られかねません。

それは、

負けを認めてしまっているも同然です。

そんな気持ちに木村さんは苛まれていました。

しかし、木村さんは上司の仕事の仕方を、

自己満足ではないか……?

という疑いの目も持っていました。なぜなら、上司は毎回徹夜をして無茶な仕事で、達成感を得ている状態……つまりはランナーズハイ状態ではないかと木村さんは考えていました。そんな疑似達成感のために、振り回されていたらたまったものではありません。

そもそもお客さんのためになりません。

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