「人口が減ると経済はマイナス成長」は本当か データが示すのは、それとは異なる姿だ

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本の中では、1870(明治3)年から20世紀の終わりまで125年間の人口と実質GDP(国内総生産)の推移を比較した図を掲げ、マクロ経済の成長が決して人口によって決まるものではない、ということをビジュアルに訴えた。

この間、GDPと人口はほとんど関係ないほどに乖離している。戦後の日本経済にとって最大のエピソードといってもよい高度成長期(1955~1970)には、経済は年々10%成長したが、人口の伸びは約1%程度だった。1%という数字は、全人口、生産年齢人口、労働力人口、どれをとっても大差はない。毎年10%-1%=9%ずつ「1人当たりの所得」が上昇していたのである。

それは人口減少時代にも成り立つか?

この図のメッセージは、幸い多くの読者のハートに届いたようなのだが、その中に「ちょっと待って」と思った人もいた。図は20世紀末で終わっているが、この図に描かれている125年間は人口が増えている時代だ。人口が減り始めたら、どうなるか分からない、と思った人がいたのである。

これはもっともな疑問だ。人口減少はたしかにそれ自体としては経済成長にとってマイナス要因である。しかし、先進国の経済成長は人口要因よりも「1人当たりの所得」の上昇によってもたらされる部分のほうが大きい、という結論は、人口減少の時代にも人口増加の時代と同じように成立するのである。

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