会談中止で米朝関係はどこまで「悪化」するか 将来的な交渉の可能性も示唆しているが・・・
ルッジェーロ:トランプ大統領は正しい判断を下した。北朝鮮は単にゲームを仕掛けているだけで、まじめに非核化するつもりはないことは明らかだった。北朝鮮が先の会談に出席しなかったことや(韓国との)コミュニケーションを絶ったことは言い訳ができるものではない。金正恩は、首脳会談の最大の目的である非核化への準備ができていなかった。
北朝鮮のレトリックに過剰反応した
ダベンポート:トランプ大統領は北朝鮮のレトリックに過剰反応し、そもそも自らの政権が引き起こした危機の責任を忘れている。ジョン・ボルトン国家安全保障問題担当大統領補佐官は、米国が何の譲歩も行わない段階で非核化する「リビアモデル」を求めたほか、マイク・ペンス副大統領は合意に達さない場合は戦争の可能性もあることをちらつかせた。これでは、北朝鮮からはネガティブな反応しか引き出せないのは当然だ。
こうした好戦的な言動をした以上、トランプ政権は北朝鮮も同様に敵意を見せることは、予測できたはずだ。会談の中止はこうした好戦的な状況を加速させるだけである。
このまま首脳会談を行うこともリスクはあった。トランプ大統領の期待は打ち砕かれ、より限定的な合意に持ち込まれたうえで、北朝鮮による表面的なコミットメントで手を打ってトランプ大統領がこれを「勝利」だと喧伝する可能性もあった。それを考えると、より念入りに準備をし、首脳会談に向けてより大きな成果を得られるようにしたほうがよかった。
しかし、今回トランプ大統領がしたような中断の仕方によって、状況は首脳会談が決まる前よりも悪化したといえる。彼の好戦的な書簡によって将来の交渉の可能性が暗礁に乗り上げただけでなく、昨年のような報復合戦へと加速する可能性が出てきたことで米韓関係が試練にさらされることになる。
コリンズ:タイミング的に少し驚きではあったが、多くの朝鮮専門家にとってトランプ大統領が金正恩と会談を中心することは驚きではないはずだ。トランプ大統領は何週間にもわたって、北朝鮮が非核化に真剣に取り組む姿勢を示さない限り、会談を中止すると脅してきた。
確かに6月12日の首脳会談はキャンセルになったが、これで北朝鮮との交渉に終止符が打たれるわけではないだろう。今後は、北朝鮮が今回の中止にどのように反応するかにかかっている。これまでのとおり、水面下で交渉を続け将来的に会談を行う可能性もある。