ファッションの丸井、「証券事業」参入の思惑

今夏、「つみたてNISA」対象の投資信託を販売

水道光熱費やスマートフォン料金の支払いのように、顧客が毎月一定額を利用することで企業が継続的に収益を稼ぐことができるビジネスモデルを「リカーリング」といい、この顧客はゴールドカードへの転換率が5倍高くなるとされている。また、ゴールドカードの会員はLTV(顧客生涯価値)も一般カードに比べて5倍になる、との試算がある。

「丸井が打ち出した投資信託の販売スキームはリカーリングだ。証券事業自体は大きな収益にはならないが、カード事業における顧客ごとのLTVは非常に大きくなる」(青井社長)

「若者向けの金融を提供してきた」

今後はマルイなど全国30店弱のグループ店舗で、初心者向けセミナーや申し込み後のフォローアップセミナーを実施する計画。わかりやすく提案することで、投資になじみのない若い顧客の掘り起こしを狙う。

「丸井が持つ20~30歳代の顧客基盤は、一般的な証券会社だと取り込めない層。そう考えると、同社の投資信託販売は面白いビジネスになるのではないか」と、QUICK企業価値研究所・調査部の永田和子シニアアナリストは分析する。

丸井グループの青井浩社長は、現在の百貨店事業のあり方について危機感をあらわにする(記者撮影)

今回の証券を含め金融事業を強化してきた丸井はそもそも、創業事業が月賦販売だった。月賦販売商に勤めていた青井忠治氏が1931年にのれん分けで創業。1960年に月賦をクレジットに呼称変更し、日本初のクレジットカードを発行した。

翌月・分割払いなど利用しやすい環境を作ることで、「若者向けの金融を提供してきた、という自負がある」(青井社長)。限られた富裕層だけではなく、収入や年代を問わず、すべての人に金融サービスを提供するとの企業理念を掲げており、今回若者を主顧客とする証券事業を展開するのは、その方針に沿ったものである。

金融事業をさらに発展させる背景には、もう1つの柱だった小売事業の先行きに対する不安がある。青井社長は「モノだけを売っている百貨店型の小売業は、10年後にこのまま残っているのだろうか」との懸念を示す。

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