ところが、ジェイドは発売当初に掲げた月間販売目標3000台を一度もクリアできず、過去3年間での累計販売台数は約2.1万台にとどまる。月間平均に直せば600台にも届かない。
ホンダの最量販車種で軽自動車ナンバーワンの「N-BOX」が2017年度(2017年4月~2018年3月)に約22.3万台(月販約1.8万台)を売ったことを考えると、いかにジェイドが「不人気車」だったかがわかるだろう。
「これまでのジェイドはお客様やメディアからぼんやりしてわかりにくいという評価を受けていた」。新型ジェイドの開発責任者である本田技術研究所四輪R&Dセンターの赤坂浩祐主任研究員は言う。
ジェイドが振るわなかった理由
ジェイドがこれまで振るわなかった理由として、自動車研究家の山本シンヤ氏は、2016年5月5日に東洋経済オンラインで配信した「ホンダ『ジェイド』がさっぱり売れない理由」で、いくつか要因を分析している。詳しくはそちらに譲りたいが、山本氏が指摘したポイントで記者が最も注目したのは、1~3列目までがすべて2人ずつで最大6人乗りというシートレイアウトの仕様しか設定されていなかったことだ。
特に2列目が2人掛け仕様しか選択できなかったのは、ネックだったに違いない。大型アームレストを備え、V字型にスライドもできるジェイド6人乗り仕様の2列目は「キャプテンシート」とも呼ばれ、後席乗員が独立してゆったり座れる。
これは実際ジェイドを買ったユーザーの満足度が高い要素だというが、普通乗用車の2列目は3人掛けのシートを採用しているケースが世の中の大多数。乗用車を軸にした3列シートモデルであっても同様で、2列目は3人掛けのレイアウトのほうが相対的に使いやすいし、それにユーザーが慣れている。
記者はかつて某自動車販売会社に勤めていた経験があり、新車販売の動向を分析したり、自動車業界内外の情報に触れたりする機会が少なくない。かつてオデッセイやストリーム、あるいはトヨタ自動車「ウィッシュ」、マツダ「プレマシー」など背の低いミニバンユーザーの一部には、確かに5人乗りのステーションワゴンで十分と考えて乗り換えたり、いずれは買い替えたいと検討したりしているケースは確かにいくつか知っている。