さて、お子様に目を向けると、子どもにとっては家庭が安心できる場であることが最も重要だと言えます。1カ月もの間、両親がまったく「口を利かない」状況がいい影響を与えないのは明らかです。加えて、相談者さんの場合は、祖父母もいるわけですから、余計に険悪な空気が流れてしまいます。
事態を前に進めるためには、すでに相談者さんが考えているように話し合いが必要です。その際、気まずいからとメールや電話で済まそうとしてはいけません。特に奥様とは必ずひざを突き合わせて話してください。
社会学者の加藤秀俊先生は、深くお互いを理解するためには、「顔と顔」のコミュニケーションが大切だと述べています。
「わかり合えないことがわかる」可能性もある
面と向かって深いコミュニケーションをしたからといって、「わかり合える」とはかぎりません。逆に、「わかり合えないことがわかる」可能性もあります。全人的に接触してみて、もうこの人とはやっていけないと言葉ではなく、「体感」してしまった場合には、離婚は現実的な選択肢の1つになります。
ここで再び、「まずは落ち着いてください」という言葉をかみ締めてほしいと思います。手元にある選択肢は、「夫婦を続けること」と「夫婦をやめること」だけではありません。もっと穏当なカードがまだまだ残っています。
まず、お勧めしたいのが、退社後にすぐに帰宅せず街を歩いてみることです。もし、友だちがおらず、趣味もなければ、結局、何もすることはないので、すぐに帰りたくなる可能性が高いです。これだけで、普段、誰を頼りに自分が生活しているのかが十分に理解できます。
ここまで家族関係がギクシャクしてしまうと、物理的にも精神的にも距離を取ってみるのもいいでしょう。そこで、次の一手は家出になります。平日のビジネスホテルに1泊するぐらいなら、お小遣いの範囲で実行可能でしょう(注意するまでもありませんが、奥様には事前に家出を予告しておいてください。毎日、帰ってきていた人がなんの連絡もなしに帰ってこなければ、自分が思っている以上に大ごとになります)。
ビジネスホテルで一夜を過ごしながら、離婚したら自分がどのような生活を送ることになるのか想像してみます。翌日は、一人で朝食を食べ、誰にも見送られることなく会社に行くので、さらに離婚が具体的にイメージできるでしょう。
離婚にリアリティを感じられれば、普段は意識していなかった結婚の意味が鮮明になります。そうした思考のプロセスを経たうえで、離婚を考えて行動するのがいいのかどうか決断してください。人生にとって重要な決断です。答えを急いではいけません。
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