日経平均株価は2万3000円を突破できるか 市場の「4つの警戒材料」は消えたのか?

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さて日本株の先行きだが、日経平均株価は、5月10日(木)までボックス圏内での推移であったが、11日(金)は前日比で261円強の上昇と、久しぶりに強めの上昇となり、2万2700円台に乗せてきた。
この背景としては、先に述べた警戒要因からも考えると、次のことが挙げられる。

1)国内での企業決算がかなり出そろい、決算を見極めたいとの様子見的なスタンスがかなり峠を越した。

2)アップル株の続伸が米国株式市場全般に広がり、米国の主要指数がかなり持ち上がってきた。それにもかかわらず、5月10日(木)までは日本株は様子見を決め込んでいたが、さすがに無視できなくなって、日経平均が上昇を始めた。

3)特に半導体関連株をみると、SUMCO、信越化学、東京エレクトロンなどが、先週後半から株価の頭をもたげ始め、明るさを増しつつある。

加えて、6月12日(火)にシンガポールで、米朝首脳会談が行なわれると発表された。まだ先行き予断は許さないが、ここまで来て完全決裂に至るとの可能性はかなり低下していると推察され、これも極東地域での緊張緩和として、国内株価の下支え要因として働く(株価吊り上げ要因にはならないだろうが)ことは期待される。

こうした諸点を踏まえると、先週木曜日まで警戒感が強かった国内株式市況動向も、同金曜日からの軽快な流れが強まり、徐々に上値を追う展開に入っていくものと予想する。

今週は「材料空白地帯」、市場の明るさ持続に注目

ところで今週の材料を探すと、企業決算の発表は建設や不動産、メガバンク、保険など一部残るものの、数としてはかなり少なくなる。国内では1~3月期のGDPや3月の機械受注の発表もあるが、それで市況が大きく動くとは見込みがたい。海外では中国の4月の経済統計がいくつか公表され、米国でも4月分の住宅着工や鉱工業生産の発表があるが、それらも大きな材料にはならないだろう。

とすると、今週は材料の空白地帯となりそうだ。このため、5月11日(金)から表れた、国内株式市場の明るさが、そのまま持続するかどうかが注目される。述べたように、米中通商交渉や中東情勢など、実際の事態の進展はまだまだ長期戦で、内外株式市場の材料としては織り込み済みだ。よほど円相場が波乱を引き起こすようなことがなければ(おそらくないだろう)、日経平均株価は、前回コラムで見込んでいたよりも遅れてやってきた上値追いを進めるものと予想している。こうした展望を踏まえて、今週は2万2500~2万3300円を日経平均の予想レンジとする。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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