勝てない投資家が陥りがちな根本的な間違い 市場はたった1つのことだけでは決まらない

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株を買う際、1つの事象に左右されていませんか。市場はさまざまな要因から成り立っています(写真:EKAKI / PIXTA)

目先の市況動向をちょっと脇に置いて(とは言っても、足元の市場の動きと関係はあるのだが)、筆者が講師を務めるセミナー等において以前から数多く寄せられる質問で、懸念していることがある。それぞれの質問は異なっているものの、根っこのところでは同質なのだが、それは「投資家がある特定の1つのこと(イベントや経済現象、材料等)に囚われすぎている」というものだ。

たとえば、「東京オリンピックまでは、景気も大変強く不動産価格も株価も大きく上昇するが、オリンピックが終わると大不況になって、株価も暴落するのではないかと心配なのですが、どうでしょうか」といったものだ。あるいは「日銀が株式ETF(上場投資信託)を買い続ければ株価は上昇し続けると思うが、ETFの買い入れを減らすと大暴落するに決まっている、それを考えると、心配で夜も眠れない」といったものもあった。では、ずっと寝なければいいのではないか、と思わず答えそうになった。ここまで極端でなくても、1つの要因を針小棒大に取り上げる傾向は、投資家の中に多くあるように感じられる。

なぜ、こうした単一要因思考がはびこるかと言うと、そのほうが楽だからだ。さまざまな要因に気配りする必要がないと思い込めば、悩むことはない(前述のように、多くの人がかえって悩んでいるように感じられるが)。ただ、それは思考停止であり、決して好ましいものではない。

個別銘柄は多くの要因を見聞きしなければならない

投資手法においては、多くの資産に分散された手数料率が低い(妥当な)ファンドに、毎月積み立てで同額を少額ずつ投資し長期保有する、というやり方がある。こうした手法を採用するのであれば、市況が当面上がろうと下がろうと、淡々とファンドの購入を続ければよく、思い悩む必要はない。この場合、自分の投資残高の時価評価額は、数年間は見ないほうがよいと思う(笑)。

ただ、こういった手法を何らかの理由で採らず、個別銘柄や単一の市場等に投資すると決めた場合(そういったやり方が悪いわけでは全くない)、多くの要因を見聞きして判断しなければいけない、と、あきらめたほうがよい。

足元の市況でも、一時はドナルド・トランプ政権の法人減税やインフラ投資による景気刺激効果という、単一要因ばかりを見ていた米国市場が、今度は保護主義的な政策に対する懸念だけに目が囚われているように感じられる。そうした米国株価や米ドル相場の波乱に日本の株式市場も巻き込まれてしまい、日本企業の収益水準やそれと比較した日本株の価値評価(予想PER=株価収益率などによる)は、株式投資の判断上最重要事項であるはずなのに、どこにいってしまったのか、という状況だ。

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