勝てない投資家が陥りがちな根本的な間違い 市場はたった1つのことだけでは決まらない

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では、なぜ、先週(3月30日(金)に終わった週)の日米株価や米ドル円相場が持ち直したかと言えば、述べたように、先々週の諸市場が、単一要因思考や下向きの心理モメンタムによって下振れしすぎたため、その修正運動が始まったからだろう。市場は上にも下にも行き過ぎるが、株式投資の根本は、企業のオーナーになることだ。そのため株価は最終的には企業価値に沿う。

特に日本の株価については、国内発の悪材料が少ない。財務省の公文書改ざん問題を挙げる向きが多いだろうが、筆者が接触している海外投資家に、動揺する向きはほとんどいない。もちろん、筆者が情報交換を日頃から行なっている海外勢は、日本株の経験が長く、見識もあるため、海外投資家全体の動向とは乖離がありうる。それでも「この問題で安倍政権が倒れたり、ましてや自公政権でなくなったりすることは考えられない」と冷静だ。

株価は中長期では企業価値に沿ってくる

したがって、日本株はこれまで米国株価や米ドル円相場につられて下振れしたため、予想PERでみると、特に3月23日(金)時点では割安さを強めていた。TOPIX(東証株価指数)ベースの予想PER(ファクトセットベース、先行き1年間の予想収益から算出)は、3月23日(金)には13倍を若干割り込んでいた。振り返ると近年、13倍を割れた局面は、2016年2月にかけての世界同時株安時や、同年6月のブレクジット(英国の欧州連合離脱)・ショック時くらいだ。つまり、両局面に匹敵するほど、足元の株価は売られ過ぎであった、と言えよう。

いくら、単一要因思考や下向きの心理モメンタムが株価を押し下げてきたと言っても、中長期的に株価は企業実態に沿う。そうした上向きの修正運動(適正価値への回帰)が、先週あたりから始まっていると考えている。また米ドル円相場も、先物市場の動向で見る限り、円の売り物は反対売買の円買いによって、相当掃除されてしまった(これから円の買い戻しは大きくは生じない)状況で、米ドル高・円安方向に戻ったのは、極めて自然だ。

今週の日経平均株価については、こうした明るい方向への流れの中にあると考え、2万1200円~2万2000円を予想する。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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