日経平均株価は2万3000円を突破できるか 市場の「4つの警戒材料」は消えたのか?
ただし、こうした警戒材料は、後付けで相場のもたつきの言いわけに使われた感も強い。たとえば1)の国内企業の決算発表「第2幕」については、確かに個別に失望を呼んだ決算はあったし、企業側の今期収益見通しも慎重だ。日本経済新聞社の集計によれば、5月11日(金)までに公表された企業側の見通しを集計すると、2019年3月期の経常利益(連結決算を公表している企業については連結ベース)は、前年比1.9%増に過ぎないとされている。
とは言っても、事前には3%程度の増益見通しにとどまるという観測が有力で、それすらも下回ってはいるものの「誤差」は小さく、これが大きな失望要因だとは言い難い。
海外の不透明要因は「長期戦」
2)の米中通商問題(あるいはそれを含めた米国の保護主義的な政策の行方)や3)のイラン核合意からの米国の離脱は、直ちに結論が出るようなものではなく、長期的に行く末を見ていく必要がある。足元すぐに悪材料として市場にのしかかるとは考えにくい。
加えて、2)については、米中で落としどころを探ろうとの交渉であって、完全に破談となるとも思えない。米国産業界や議会も、中国からの輸入コスト増加や、中国が米国からの農作物輸入に報復関税を課した場合の米農家への打撃などを、懸念する声が強く、トランプ大統領がそうした国内での意見を踏まえて、ある程度態度を軟化させることもありうるだろう。
また3)も、イランは欧州との合意継続を望んでいる。中東全体を展望すれば、たとえばサウジアラビアとイランの緊張の高まりなどが懸念されるが、それは今回の核合意からの米国離脱があろうとなかろうと、元々警戒すべき要因ではあった。
こうした点から、米中通商問題や中東情勢を、手放しで楽観することはできないが、かと言って市場動向を大きく揺るがすとも見込みにくい。
半導体を巡る種々の思惑については、アップル自体については、前述の売上高見通しに加え、5月3日(木)夜のテレビで著名投資家のウォーレン・バフェット氏がアップル株を買い増したと表明したため、同社の株価が4日(金)から10日(木)にかけて史上最高値を連日更新した。このためナスダック総合指数も、先週は世界の株価指数の中でも騰落率上位に顔を出しており、市場全般に明るさが広がったことがわかる。
一方では、前述のビットコイン発掘熱の剥落などが懸念材料として取りざたされているわけだが、「ため」にする話という感も強く、半導体の需要先がスマホだけでもビットコインの発掘だけでもないことを踏まえれば、主要国の半導体関連株が今後本格的に調整するとは予想しにくい。かえって、半導体関連セクターの、ちょうど良い押し目になったのではないだろうか。
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