埼玉県が進める「新学力調査」は何が凄いのか

ビッグデータでわかる良い教師の条件とは?

さらに「伸び率」の把握には、同じ子どもを継続的に調査することが必要ともいわれている。そのため埼玉県学調は、同じ子どもや学校の変化を継続的に把握できるよう設計されている。

ある小学校に通う4年生の子どもが5年生、6年生と進級するたびに「追跡調査」を行うのである。こうすることで子どもがどれだけ力をつけたのかがわかるようになる。ここが従来の学力調査との大きな違いである。

前述の通り、従来の試験では全体の平均点がはじき出され、それと比べて高いか低いかという評価に終始していた。

ただ、これでは一人ひとりの「伸び率」は見られない。たとえ平均点に達していなくても、「伸び率」を見て成長が認められれば、その生徒の力は伸びたといえる。

いわば「平均点の呪縛からの解放」こそ、埼玉県学調の最大の特徴である。このような調査を自治体レベルで大規模に実施するのは、世界的にみても極めてまれだ。

埼玉県では、埼玉県学調で得られた情報をもとに、教師・学校・教育委員会が子ども一人ひとりの「伸び率」を把握し始めている。

さらに、調査データに基づいた分析を経て、子どもが伸びる仕組みも詳細に検討している。その結果、子どもの力を伸ばすコツが教師間で共有されるなど、前向きな取り組みが広まりつつある。

教師の実力が子どもの力を伸ばす

では、子どもの力はどうすると伸びるのか。

埼玉県教委は、慶應義塾大学SFC研究所に対し、3年間で累計約90万人分のビッグデータの分析を依頼した。その中で一定の因果関係として見えてきたことが2つある。

1つは、自制心や勤勉性、苦手でも頑張る気持ちといった要素(非認知能力)を伸ばせれば、学力は伸びていくのではないか、ということである。

そして、もう1つが興味深い。学力や非認知能力は、対話的・主体的な深い学び(アクティブ・ラーニング)に基づいた授業を実践したり、上手にクラスをまとめられたりする教師によって、より伸ばされるのではないか、というのである。

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