「セブン銀行」が明かすAI実証実験の舞台裏 導入の秘訣は「悩まずしぶとく、やってみる」
――それぞれ、どんな目的を持って行ったのでしょうか?
松橋:チャットボットは、コミュニケーションやQA手段の多様化のための自動化という要素が強いですね。ATMのオペレーションに関しては、現状より高度化、省力化を図るというのが大きいです。保守に関しては、ゆくゆくはマニュアルレスにしたいと思っています。うまくいけば、大きな工数削減に繋がるので、4〜5年のスパンで考えて研究を続けていきます。
AI活用に対して、とても積極的ですね。
よく、数ヶ月で精度がうまく出なかったので実証実験を止めてしまう、というケースをよく聞きますが、4〜5年先まで見据えているのはかなり長いと思いました。
なぜ積極的にAI活用に踏み込めるのか
――なぜそこまで実証実験に取り組めるのでしょうか?
松橋:当社の経営理念に、“技術革新の成果を取り入れる”という項目があります。それが社員全員の共通言語になっているので、新技術への障壁は一切ないといえるでしょう。
松橋さん曰く、絶対にできるという確証がなくても「やってみよう」という空気になるのだそうです。
松橋さんも自らコミュニティイベントに出向き情報収集。オープンイノベーションという形でいろんな企業とコラボをし、実証実験を開始したのだとか。驚きのフットワーク・文化です。
――実証実験で難しいのが“評価”だと思います。ビジネス的な観点での評価・期限はどのようにしているのでしょうか?
松橋:ある程度の目標はありますが、とくに締め切りなどは設けていませんね。
――それはかなり寛容ですね! なぜそのような体制にしているのでしょうか?
松橋:実証実験の結果は、すぐには出ないです。だから、しぶとく何年もやっていくしかないですね。一回やってみただけで、諦めないことが大事だと思います。
なるほど。確かに、最初から完璧な精度を出してくれるAIなんてないですもんね。
――そのほか、これからAI活用をしたい企業の方々へアドバイスはありますでしょうか?
松橋:悩まずやってみること。ただし、実現したい未来像をしっかり描き、そこに向けて挑戦し続けることだと思います。成功も失敗も、とにかく経験することでしかわからないですから。
すべて相手まかせではなく、自分たちでもトライアンドエラーをしていく必要もありますね。
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