家庭用シチュー、活性化の意外な「隠し味」

そのカギを握っていたのは「夫」だった

「子ども向けメニュー」のイメージも強いシチュー(写真提供:ハウス食品)

また、日本人の生活が洋風化したのは1970年(大阪万博の開催年)ごろで、ファミリーレストラン「すかいらーく」(1号店は東京都府中市)も同年に、翌年には「ロイヤルホスト」(同福岡県北九州市)が開業した。家庭用シチューの発売年は、洋風化に向かう時代性を先取りしたといえそうだ。これ以降、シチューは家庭料理の定番メニューの1つとなった。

「3.11」後に顕在化した“夫問題”

「実は、シチュー市場は2011年以降、縮小していました。今期は前年越えですが、それまで総販売数も単価も少しずつ減っていたのです」(田村氏)

その理由として、NB(ナショナルブランド)に比べて割安なPB(プライベートブランド)商品の拡大による「単価下落」などもあるが、調査の結果、もっと根本的な問題に行き着いた。

「シチューには『子ども向けメニュー』のイメージも強く、年間で1度でも食べること(トライ)が減っていないのに、頻度(リピート)が減っていた。これを問題視して、なぜ減ったのかを調べても、従来の調査では理由がわからない。そこで2015年に、新たな調査手法で探ることにしたのです」(同)

取り入れた調査手法は、ウェブ上の共創プラットフォーム「Blabo!(ブラボ!)」だ。これには登録者が企業の課題に意見を述べる(企業が「問い」を出し、登録者が「答える」)機能があり、自社の登録者約1万4000人(当時。現在は2万人超)に、「シチューについて感じている潜在的な“モヤモヤ”」を聞いたところ、意外な本音が見えてきた。

「たとえば『(シチューは)旦那がご飯のおかずとして物足りないと思っている』という意見があり、クリームシチューを作る動機として『主人の帰りが遅いとき』といった声が上位にありました。どうやらキーワードは『夫』なのだな、と仮説を立てたのです」

マーケティング業務にかかわる人ならご存じのように、「消費者の声」をグループインタビューなどで聞こうとしても、企業が求める具体的な意見が出にくかったり、その場の“声が大きい人”に同調してしまったりしがちだ。そこで、自由な書き込みを活用することによって“潜在意識”を探ろうとしたのだ。上記2つの回答キーワードを基に、次の仮説を立てた。

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