家庭用シチュー、活性化の意外な「隠し味」 そのカギを握っていたのは「夫」だった

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「昨夏に発売した『シチューオンライス』は、比較的若い主婦層に支持されており、ホットメニューであるシチューより、ライスメニューであるハヤシライスに近い利用のされ方です。『年間目標10億円』は達成見込みで、売り方次第では、年間20億円の可能性がある商品だと考えています」(田村氏)

「季節商品」からの脱皮も課題

前述の消費者意識も含め、同社には追い風となる結果だが、課題も残る。これから暑くなる時季にどう訴求するかだ。田村氏が触れた「ハヤシライス」も参考になるだろう。

実は「家庭用ハヤシライス」市場は、シチューよりも少なく約60億円だという。冒頭で紹介したカレーライスが、ルウ市場、レトルト市場を合わせて1000億円を超えるのに比べて2ケタ低い。それでもハヤシライスは「通年商品」であり、カレーライスは「夏カレー」としての需要も高い。秋冬型商品のシチューが、今後、春夏需要を取り込めるのか。

また、「飲食の好み」でいえば、消費者は保守的・新しもの好きの両面があるが、何かのきっかけで「戻る」こともある。たとえば、今や“昭和型喫茶店”の代名詞となった「ナポリタンスパゲティ」だ――。創業半世紀を超える人気カフェを取材すると、「1990年代初めの“イタメシ”ブームの時は、『古くさい』と思われて、1日2~3食しか出なかったが、昭和レトロ人気で復活して、今では週末には200食出る」という話が聞けた。

マーケティングの現場では「成熟市場でも、できることがある」とも言われる。消費者に新たな気づきを与えるのも、企業や担当者の腕の見せどころだ。

シチューオンライスのパッケージと出来上がり写真(写真提供:ハウス食品)
高井 尚之 経済ジャーナリスト、経営コンサルタント

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たかい なおゆき / Naoyuki Takai

学生時代から在京スポーツ紙に連載を始める。卒業後、日本実業出版社の編集者、花王情報作成部・企画ライターを経て2004年から現職。「現象の裏にある本質を描く」をモットーに、「企業経営」「ビジネス現場とヒト」をテーマにした企画・執筆・講演多数。近著に『なぜ、人はスガキヤに行くとホッとするのか?』(プレジデント社)がある。

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