働き方改革は案外バカにできない成果を生む 少なくとも男女平等にようやく向かう

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男女平等を追求することは同時に、政府が育児や高齢者介護、経済的不平等、キャリア選択の柔軟性の欠如といった、ほかの喫緊の社会問題にも取り組むことになることを意味する。

性差別是正に取り組むには、改革法案の中の同一労働同一賃金の条項が重要である。もちろん、日本は1986年施行の男女雇用機会均等法において男女平等を公式に規定した。しかし、実際のところ企業は、主に男性向けの「正規雇用ルート」と、主に女性向けの「非正規雇用ルート」という2つのキャリアルートを設けることによって、性差別を温存してきた。

最も露骨で正当化しがたい不一致に切り込む

企業は、雇用形態の違いによる拘束性の程度に基づいて、賃金、福利厚生、雇用における待遇の違いを正当化してきた。つまり、正社員には時間外労働や転勤、職種変更を受け入れる義務があったのに対し、非正規社員にはこうした義務はなかった。

こうした中、現行法案およびその実施計画は、賃金における最も露骨で正当化し難い不一致を禁じることでこの問題に取り組もうとしている。たとえば、企業は正社員と非正規社員に対して異なる通勤手当を提供することは許されなくなる。なぜなら企業は、それぞれの職務義務が通勤手当の違いを生むことを正当化できないからである。

筆者が働き方改革について日本で調査を行った際、日本の政府関係者たちが単に男女平等と多様性を目標に掲げるだけでは不十分であるということをしっかりと自覚しているということを知って感銘を受けた。

彼らは企業レベルでの進捗を監視し、従っている企業に対しては報酬を提供し、従わない企業は罰する仕組みを意図的に設計している。男女平等に関して厚生労働省は、女性採用比率、勤続年数男女差、労働時間の状況、女性管理職比率、キャリアコースの多様性という5つの基準に基づく3段階の成績によって、企業の努力を認定する「えるぼし」システムを考案した。

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