堀江貴文「AIに仕事を奪われると歎くダサさ」 「搾取される側にいる人」たちの残念な発想

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『10年後の仕事図鑑』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします)

ペッパーなどのロボットは、相手が近づいてきたことを認識して話しかけたり、人の話を聞いて何か対応するということができるようになった。しかし、料理の盛りつけなどの細やかな作業は苦手。手を使って仕事をさせるまでには、まだ少し時間がかかる、といった状況だ。

また、AIの進化自体も、「腕」によるところがあるのではないかと思う。たとえば人間も、目と耳があるだけでは急速なスピードで進化することはできない。おそらく人間以外の動物が進化しない原因もそこにあり、犬やサルも、「知能は大体2~3歳児ぐらいで止まってしまう」といわれている。理由として、脳の体積が小さいということももちろんあるが、身体性という意味でいうと、手を器用に使えていないことが大きい。

歩けるようになると手が自由になるため、多様なインタラクション(モノを持ったり、手を握ったり、字を書いたり)が可能になる。手でインタラクションができるようになると、知能は向上する。たとえば人間はあいた両手で文字が書けるようになり、文明を創ることができた。

5本の指を自由自在に操れるハンドをAIが獲得すれば、人間の手は不要になる。身体性をもって外界とコミュニケーションを取るようになり、ますます急速に知能が向上していくだろう。ほとんどの作業を機械が代替する時代の到来だ。

問うべきは未来ではなく、「今」

しかし、それがいつになるのかは誰にもわからない。

見えない未来など、考えていても仕方がない。本来問うべきものは、「未来」ではなく、「今」であり、「今自分が何をすべきか」であるはずだ。

さまざまなところで何度も言っていることだが、自分の「好き」という感情に向き合い、ひたすらに没頭することだ。それがいつしか仕事になる状況が、今は増えている。それを履き違えて「AIに仕事がとられる」「AIは人間の敵だ」とただただ不安に思っているのなら、勘違いも甚だしい。

堀江 貴文 実業家

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ほりえ たかふみ / Takafumi Horie

1972年福岡県八女市生まれ。SNS media&consulting株式会社ファウンダー。現在は宇宙ロケット開発や、スマホアプリ「TERIYAKI」「755」「マンガ新聞」のプロデュースを手掛けるなど幅広く活動を展開。有料メールマガジン「堀江貴文のブログでは言えない話」は1万数千人の読者を持ち、2014年には会員制のコミュニケーションサロン「堀江貴文イノベーション大学校」をスタート。『ゼロ』(ダイヤモンド社)40万部超、『本音で生きる』(SBクリエイティブ)30万部超などのベストセラーがある。近著に『10年後の仕事図鑑』(落合陽一氏との共著、SBクリエイティブ)など。

Twitterアカウント:@takapon_jp
その他詳細はHORIEMON.COM

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