板門店宣言の638語に込められた大きな希望 現時点で望みうる最高の共同宣言だ
4月27日の南北首脳会談は、息をのむような場面の数々によって世界の関心を引きつけただけではない。重要なのは、首脳会談が638語の共同宣言に結実したことだ。
「板門店(パンムンジョム)宣言」には非核化の実現や、年内に朝鮮戦争の平和協定に署名するといった野心的な目標に加え、北朝鮮の開城(ケソン)に南北共同連絡事務所を設けることが明記された。
共同宣言はまた、離散家族が8月15日に再会を果たし、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が今年秋に平壌を訪問することに望みをつなぐものでもある。
北朝鮮側が大きく譲歩
もっとも重要なポイントは、韓国側がほんのわずかな制裁緩和をごく少数しか行っていないにもかかわらず、北朝鮮側が大きく譲歩してきているということだ。
南北首脳会談とこの共同宣言は、両国の関係を短期的・中期的に改善するだけでなく、来る米朝首脳会談に向けて地ならしをするためのものでもある。
共同宣言の文言の大部分は、過去に発表された共同宣言の焼き直しだ。非核化に関する文言も、まだ曖昧模糊としている。だが、過去にはなかった新たな合意内容をいくつか含んでいるのが、今回の板門店宣言なのである。
なかでも非核化に関する合意があったことは画期的だ。会談前には、非核化に関する文言が盛り込まれるのかどうかをめぐっては一部に懐疑的な見方が存在していたものの、最終的な合意文書には「南と北は、完全な非核化を通して、核のない朝鮮半島を実現するという共通の目標を確認した」と明記された。
ただ、従来の南北共同宣言と同様、目標とされたのは、核のない北朝鮮ではなく、核のない朝鮮半島だ。加えて、非核化実現へのタイムテーブルや行程表は何ら示されていない。こうした点に批判の声が向けられるのは当然、予想されることだ。