フェイスブックが明かした「流出対策」の全貌 新機能「クリア・ヒストリー」とは何か

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フェイスブックがユーザーの情報を外部のウェブサイトやアプリから集めるツールは、いくつか存在する。

ユーザーが「いいね!」や「シェア」ボタンなどを押す「ソーシャルプラグイン」や、フェイスブックのアカウントを使ってログインする「フェイスブックログイン」のほか、「フェイスブックアナリティクス」ではユーザーがフェイスブックからログオフしていたり、そもそもフェイスブックアカウントを持っていない場合でもユーザーを追跡できる。

ザッカーバーグCEOは「私たちはビルディングし続ける」と強調した(写真:フェイスブック)

これらのツールを通じフェイスブックに情報が送られた際、たとえばあるアプリが特定の年代の男女に普及しているといったレポートをフェイスブックはアプリの運営会社に無償で提供している。フェイスブックからすると、外部事業者との連携による情報収集を通じ、広告のターゲティング精度を高めたり、広告主の新規開拓ができたりするというメリットがあるのだ。

クリア・ヒストリーが新設された後も、こうした外部の事業者と情報を共有する仕組み自体を継続する点は賛否がわかれる。だが、今後ユーザーが望めば、自身の情報を削除できるようになる。フェイスブック自身が収益につながる情報収集の手段を断ち切る選択肢をユーザーに提供したことは、儲けよりもプライバシーを重視した証左といえるだろう。

収益とプライバシーのバランスをどう取るか

f8の1日目ではクリア・ヒストリーのほかにも、傘下のインスタグラムとフェイスブック同士でお気に入りのアプリを共有できる機能や、出会いやマッチングを支援するデート機能を今年後半から試験運用することなどが発表された。2日目は、バッドコンテンツといわれるテロリストやヘイトスピーチ、ポルノに関する映像などを人工知能における機械学習によって、より早く取り除く機能などが明らかにされた。

キーノートの途中では自身の公聴会を笑いに仕立てる場面もあったザッカーバーグCEOだが、終盤には再度表情を引き締め、「私たちはビルディングし続ける(We will keep building)」と語り、聴衆の歓声を受けた。

同社は昨年6月、社のミッションをこれまでの「世界をよりオープンにしつなげること(making the world more open and connected)」から「人々にコミュニティを作る力を与え、世界のつながりをより密にすること(to give people the power to build community and bring the world closer together)」に変更している。

分断された社会をつなげるだけでなく、コミュニティとして作り上げていく。力強い言葉を繰り出すザッカーバーグCEOには、今後も収益とプライバシーという難しい舵取りが求められている。

二階堂 遼馬 東洋経済 記者

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にかいどう りょうま / Ryoma Nikaido

解説部記者。米国を中心にマクロの政治・経済をカバー。2008年東洋経済新報社入社。化学、外食、ネット業界担当記者と週刊東洋経済編集部を経て現職。週刊東洋経済編集部では産業特集を中心に担当。

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