安倍首相の自民党総裁3選は本当にあるのか

6月21日以降、日本に「熱い夏」がやってくる

ここで自民党総裁選の新規定を整理しておこう。自民党所属の国会議員は衆議院で283人、参議院で122人。合計405人が投票権を持つ(衆参両議長には投票権がない)。さらに今回は、議員票と同数の405票が党員票となる。問題はこの党員票の行方である。

実を言うと、議員票の行方はある程度予測がつく。願いあげましては清和会(細田派)が97票、志公会(麻生派)が60票、志師会(二階派)が44票と、3つの派閥を足し合わせるだけでほぼ半数の200票に達してしまう。無派閥73人の中にも「隠れ安倍派」がたくさん居るので、安倍再選の流れは普通ならば動かない。

ところが党員票の行方がわからない。例えば国民的人気の高い小泉進次郎議員が、石破茂元幹事長の支持に回ったらどうなるか。党員票が雪崩を打って、2001年総裁選における小泉ブームのような現象になるかもしれない。

しかしお立合い。自民党の総裁公選規程は2014年に改正されている。かつてのように各県ごとに票を割り振るのではない。全国で一括集計し、得票数に応じてドント式で各候補者に405票を振り分けることになっている。開票作業は総裁選当日に一斉で行うというから、党員票の動きを見て議員票が動揺するようなことは考えにくい。

なお2012年の総裁選のように、1回目の投票で過半数を得る候補が居なかった場合は、上位2名の決選投票が行われる。以前は議員票のみの投票であったが、今後は全国47都道府県で「いちばん多かった候補者」の計47票が加算される。以前に比べて、地方票の影響力が確実に増大することになる。

行方握る地方票、安倍3選のハードルは結構高い

となれば、マスコミは懸命に都道府県ごとの票数を探ろうとするだろう。特にNHKや地方紙、民放ローカル局が総力を結集することは想像に難くない。ただし投票は往復はがきを使って行われる。つまり「出口調査」はできないというわけだ。

こんな新制度の下で、自民党党員票はどのような傾向を示すだろうか。相反する2通りの見方が交錯している。ひとつは「最近の自民党支持者は安倍支持傾向が強い」という説である。特に衆議院の3回生以下の自民党議員は127人と全体の45%を占める。彼らは安倍総裁以外で選挙を戦ったことがない。その彼らが集める党員票は、どうしても安倍支持者が多くなるという見方である。

もうひとつの説は、「自民党員と言えども、全体では民意と同じような結果が出る」というものだ。全国でサンプル数が100万を超えると、だいたい世論調査と似たような結果になるという経験論で、これはこれで説得力がある。

「なんだ、結局わからんのじゃないか」などと言うなかれ。間違いないのは、地方票の行方が非常に重要になるということだ。となれば、自民党総裁選は久しぶりに盛り上がるはずである。「安倍3選」のハードルは結構高い、と考えておくべきだろう。

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