風俗で18年働く「早稲田卒」41歳母の深い苦悩 息子の学費捻出のため、休みは1日もない

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田中さん自身も鶯谷まで風俗嬢を続けるつもりはなかった。何度も抜けだそうと行動したことはある。

「20代のときは30歳、30代のときは40歳。年齢の節目で抜けだすのが目標でした。結局、それがかなわなかったとき、大きな絶望感というか、精神的なダメージがきました。特に29~30歳のときには必死に就職活動をしましたけど、全然ダメでした。全滅です」

風俗嬢は法律的にグレーで、多くの女性たちには“いつまでもできる仕事ではない”“できればやらないほうがいい”という自覚はある。いずれ抜けだしたい、そう思いながら目先のおカネを稼ぐ日々を送っている。

「塾の先生ってウソをついて企業に面接にまわった。本当に全滅。最後の最後に奇跡的に1社だけ採用されて、これまでの在籍証明書を出してくれってなった。断念しました。それまで高学歴は自分の1つの大きな武器だと思っていたけど、通用しない、もう普通には生きていけないってわかった瞬間でした」

実家で暮らしている息子は中高一貫の名門校に在籍し、国公立の医学部を目指していた。父親には学費は面倒みてくれと言われていた。中途の就活に失敗したので、もう風俗嬢しか選択肢がなかった。35歳のときそれまでいた吉原で働ける店がなくなり、鶯谷の違法店に流れた。

鶯谷の報酬は安い。本番をして1人7000~1万2000円程度で、40歳で足を洗うことを目標にした。おととし40歳を迎えようというとき、ハローワークの職業訓練を受けようと必死に調べた。相談員に薦められた介護や飲食業は給与水準が著しく低かった。また、断念した。自宅とホテルの往復だけの日々を過ごしているうちに、41歳の現在を迎えた。

家庭環境が複雑な「できる子」

どうして、厳しい現状を迎えることになったのか聞いた。田中さんは地方の、家庭環境が複雑でも学業優秀な子だった。

「子どもの頃はメチャメチャ勉強ができました。オール5で偏差値70くらいあって、中学から有名進学校に行きました。ずっと自分は医者になると思っていた。赤ちゃんの頃に両親が離婚した1人っ子で、家族は母方の祖父母でした。特に祖母が母親代わりで、エリート意識が強くて人生のすべてを支配するみたいな性格で、ずっと嫌いで高校生のときに反抗した。そこからおかしくなりました」

離れて暮らす父親は個人塾の経営者、育児は母方の祖父母に任せた。祖母の望み通りに有名進学高校でまじめに過ごしていた彼女は、性に潔癖な祖母が忌み嫌うであろう援助交際に手を出した。

「伝言ダイヤルです。女子高生だったので2万、3万で売れました。だから処女喪失は売春ですね。こんなもんかと。正直なんとも思わなかった。“割り切って遊んでくれる人を探しています。おっぱいGカップ”とか入れると、返信がボンボン入ってくる。ちょうど女子高生ブームだったし、本当に軽い気持ちで売りました。高校時代は頻繁にやったのでおカネはありましたね。国公立の医学部が祖母の意向で、そこも反抗して私大しか受けませんでした」

一浪して、東京理科大学に合格した。学費は父親がすべて支払い、東京で独り暮らしするアパートも見つけてもらった。仕送りは家賃込みで毎月15万円以上が振り込まれた。単身の学生生活でも、おカネに困ることはなかった。

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