リニア時代に新幹線と在来線はどう変わる? JR東海の金子新社長にインタビューで迫る

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金子 慎(かねこ しん)/1955年生まれ。1978年東京大学法学部卒業後、国鉄入社。1987年JR東海入社。総務部長、人事部長、総合企画本部長、副社長などを経て2018年に社長就任(撮影:梅谷秀司)

――リニア工事では、JR東海と静岡県の間で大井川の水量減少対策の問題について認識に違いがあり、まだ協定も締結できていない。今後どう進めていくか。

われわれは費用を惜しんで不十分な対策で済ませようと思っているわけではない。トンネルを掘ることによって河川の水量が減るのであれば、減った分についてはきちんと戻すと申し上げている。一方で静岡県はトンネルを掘ったときに漏れ出す水の全量を川に戻すべきだとしている。県や水利権者と引き続きしっかりお話をして理解を得たい。

――長野県ではリニアの工事が着工してから1年以上経つが、発生する残土の置き場が決まらない。

発生土については長野県や市町村からいろいろな提案をいただいている。それに対して当社も相談をしながら具体策を固めている。確かに工事が進んで発生土が出る段階までに、発生土を持っていく場所がないと工事が滞ってしまうが、そういうときは仮の置き場を決めて、その後で本格的な置き場に持っていくといった段取りをするなど、いろいろと工夫をしている。滞っていて工事が進んでいないということはない。

JR西日本と一緒に安全対策を練っていく

――昨年12月に起きたJR西日本(西日本旅客鉄道)の「のぞみ34号」重大インシデントの再発防止策として、同社は超音波探傷による台車点検や車両保守担当者の駅への常駐といったさまざまな新しい施策を打ち出している。JR東海はこうした施策を取り入れていくのか。

当社でも台車の熱を感知する温度センサーを設置する、台車の傷を超音波で探査するといった仕組みを講じているし、乗務員が異音や異臭をいち早く察知するための訓練を一部で開始している。当社と似た方向の施策がJR西日本からも出てきたという印象だ。人員の配置に関しては、JR西日本は自社の弱かったところを補う対策を行っている。当社も足りないところは補っていく必要があるが、今すぐ何かをしなくてはいけないということはない。

東京にある新幹線総合指令所。JR東海とJR西日本の指令員が隣り合って仕事をしている(撮影:今井康一)

――実際の対応を見ると、JR西日本とJR東海では違いがあった。安全対策で両社に差があってはいけないのではないか。

東海道新幹線と山陽新幹線は直通で動いている列車なので、当社とJR西日本が共同で安全を高めていくことは非常に大切なことだ。JR西日本とはつねに意思疎通を行っており、訓練や研修に大きな違いはない。これからも同じものを双方でよく見て、一緒に対策を練っていく。

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