渡った先にエサがない渡り鳥が多発する理由

「生物季節のずれ」で命が危うい動植物5つ

「生物季節のずれ」によって、危機に瀕している動植物とは?(イラスト:Lauren Kolesinskas/The New York Times)

この地球上では毎年、季節の移り変わりに合わせて生き物たちもその姿や暮らしを変える。北半球に春が来て寒さが緩むと、木々は新芽を出す。イモムシが孵化してその葉をむしゃむしゃと食べる。ハチやチョウは花から花へと飛んで授粉をする。渡り鳥は越冬地である南半球を飛び立ち、何千キロもの長旅をする。虫というごちそうがたっぷりある北半球で卵を産むためだ。

これらの生き物たちは、違う種類なのに、あたかもバレエダンサーがオーケストラの音楽に合わせて踊るように、環境が出す「合図」に従っていっせいに動く。

変化についていけない動植物たち

だが地球温暖化のせいでこのバレエの伴奏音楽が変わりつつある。数十年前と比べて春の訪れが何週間も早くなった地域もある。すべての生き物が温暖化に適応できるわけもなく、一部の種は伴奏についていけなくなっている。

専門家が「生物季節のずれ」と呼ぶこの問題。花粉を媒介する虫が出てくる前に開花期が終わってしまうといったずれが生態系にどれほど影響を与えうるかについて、今も研究が進められている。

一部の生物は生息域を変えたり従来とエサを変えることで気温の変化に適応するかもしれない。だが変化についていけない場合、生物季節のずれは「大きなマイナスの影響」を与えうると、米地質調査所(USGS)の国立気候変動・野生生物科学センターの生物学者、マデレン・ルーベンスタインは言う。

「地球の気候の歴史を振り返っても、これほど劇的で急速な気候の変化が起きたことはない」と、フィンランド自然史博物館の研究員であるアンドレア・サンタンジェリは言う。「どの種も非常に迅速な対応を余儀なくされている。まったく前例のないことだ」

生物季節のずれは、これまでに発見された地球温暖化が生物にもたらす多くの脅威の1つにすぎない。以下にその例を5つ、挙げてみよう。

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