渡った先にエサがない渡り鳥が多発する理由 「生物季節のずれ」で命が危うい動植物5つ

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理論的には、自然淘汰により早く子どもを産む個体が生き残ることで、長い時間のうちにトナカイも変化に順応するかもしれない。だが極地では温暖化が他の地域よりも早く進行していることから、「問題は、進化が問題にならないくらいに変化が早いのではないかということだ」とポストは言う。

白い毛皮が保護色にならないウサギ

温暖化がもたらす生物季節のずれは春になってからとは限らない。カンジキウサギの体毛は、冬には茶色から保護色の白に変わる。ところが地球温暖化に伴って生息地の雪解けが早まり、ウサギの姿が肉食動物に見つかりやすくなっているのだ。

「保護色は捕食される側の動物が生き残るために非常に重要だ」と、モンタナ大学のL・スコット・ミルズ教授は言う。ミルズは保護色と季節のずれがウサギのような動物に与える影響を研究している。

ミルズらの研究によれば、このずれが1週間広がるごとに、カンジキウサギがオオヤマネコのような捕食者に殺される確率は7%高くなるという。

ミルズによれば、今のところ、ずれは1〜2週間にとどまっている。だが21世紀半ばには8週間まで広がる可能性があるという。もしそうなれば、「絶滅に向かって数が減り始めるだろう」とミルズは言う。

もっとも悲観的なニュースばかりではない。かつて動物が進化するには長い長い年月がかかると考えられていたが、最近ではウサギのような動物であれば5〜10年で変化に順応することは可能だと専門家は考えている(順応性の高い個体群が保護されている場合は特にそうだ)。

「希望への手掛かりはここにある」とミルズは言う。「生物季節のずれに見舞われた種は絶滅に向かうというのは必然的な結論ではない」。

(執筆:Livia Albeck-Ripka記者、Brad Plumer記者、
翻訳:村井裕美)
© 2018 New York Times News Service

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