アマチュア野球審判員の知られざる熱い仕事

「1試合5000円」でも技術と情熱を注ぐ

審判員の日々をもっと知ってほしいと、SNSでも積極的に発信する。実はアマチュア野球の審判員の行動は比較的自由で、そうした渉外活動はあまり制限されないという。

年間1500件をこなす「審判派遣団体」

「関東審判倶楽部(KUC)」という団体がある。代表は渡辺信雄氏(1977年生まれ)で、2007年に立ち上げた。草野球の試合に特化した審判員の派遣業務を担う団体だ。所属する審判員は約30人で、平均年齢は40代前半。試合をするチームから審判の派遣依頼があると、審判員を手配して試合会場に派遣する。粟村氏もアドバイザー兼審判員を務める。

渡辺氏(右から2人目)ら審判員(写真提供:関東審判倶楽部)

「チームからの依頼が年々増えて、昨年は約1500件の派遣依頼がありました。専属の審判員も4~5人いますが、大半は他の連盟などと掛け持ちする審判員。ふだんの業務は製薬会社の営業マンやシステムエンジニアなどホワイトカラー職種が多く、週末中心の稼働です。とはいえ平日の試合依頼もあるので、スケジュール調整が大変です」(渡辺氏)

神奈川県相模原市出身の渡辺氏は、高校時代まで選手として活躍し、その後に草野球チームに入り、選手や監督として活動した。多い年では年間230試合もこなしたという。

「そこまで試合をやりつくしたので、選手への未練はありません。以前は自分が率先して前に出るタイプでしたが、今は一歩引いた立場。仕事も年齢もさまざまな審判員を各地に派遣するといった、“ヒトを動かす”仕事の醍醐味を味わっています」(同)

「プライドジャパン甲子園」の光景(写真提供:関東審判倶楽部)

サラリーマンの傍ら、KUCを運営していたが、依頼殺到で両立が厳しくなり「独立を考えていたところ」、業務を通じて知り合った早川繊維工業(本社・岐阜県岐阜市)からの誘いがあり同社に転職。現在は同社の東京支店長を務めながら、KUCの運営業務を担う。

創業48年の早川繊維工業は、二代目の早川勝人社長が立ち上げた「Citto+」(チットプラス)というブランドを持つ。同ブランドでは、Tシャツやパンツ、タオルといったオリジナルウエア、横断幕やのぼりなども手がける。

同社は渡辺氏が審判長を務め、全国から1000もの軟式野球チームがトーナメント方式で戦う「プライドジャパン甲子園」という大会のスポンサー企業でもあり、そうした縁で活動を支援しているのだ。

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