アマチュア野球審判員の知られざる熱い仕事 「1試合5000円」でも技術と情熱を注ぐ

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この日は塾の仕事がないが、受験シーズンの1月と2月は、朝から深夜まで講師業務に忙殺される。逆に春から秋の週末は、審判員中心の日々を過ごす。大学の軟式野球リーグの公式試合もあれば、草野球の試合も担当する。年間試合数は200試合に及ぶという。

編著書も出版、発信活動にも積極的

アマチュア審判員の中でも粟村氏は異色の存在だ。毎年刊行される『わかりやすい野球のルール』(成美堂出版)という本の監修を十数年続け、その年に改正されたルールも説明する。

インターネット放送局『全方位野球トークバラエティ べすぼる!』(土曜放送)のMCも担う。学習塾だけでなく審判でも、時に“講師”を務めるのだ。

『わかりやすい野球のルール』最新版の表紙画像(写真提供:粟村哲志氏)

広島県で生まれ、父が数年間、軟式野球の公認審判員を務めた時期があり、自宅に審判服や胸につけるワッペン、「ストライク」「ボール」「アウト」をカウントするインジケーターもある環境で育った。

運動神経が鈍く、子ども心に自分の実力を見極めて、一緒に試合に参加できる審判に目を向けたそうだ。10歳の時に試合の審判に名乗り出て、その魅力にハマると、テレビで野球の試合を観ても、選手より審判の動きに注目する子どもだった。

その後、早稲田大学に進むと、在学中にアマチュア野球の名審判員として知られ、多くの名試合の球審も務めた故・西大立目永氏(当時早大教授)に師事。

中学硬式野球の「リトルシニア」を皮切りに、独立リーグの審判員も務め、NPBの審判員をめざした。その夢は破れたが、独立リーグの四国アイランドリーグ、BCリーグにも所属し、独立リーグとNPB2軍の公式戦を担当するなど、関連試合も経験した。そうした経験も現在の活動につながった。

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