フェラーリ「F12」に乗ってみた!! 最強スポーツカーで体験した「異次元の走り」
F12に搭載されるエンジンの排気量は6262cc。最高出力は740馬力もある。読者の皆さんが自家用車をお持ちなら、ぜひ馬力を調べて比べていただきたい。740馬力がいかに大きな数値かわかるだろう。
ほんの10年ぐらい前まで日本車には最高出力にメーカーの自主規制があり、それは280馬力だった。280馬力でも、普通のクルマからすればとんでもないパワーなのだが、740馬力というのはその2.6倍にも当たる。
本記事の冒頭で紹介したように、F12が速いのは当然だ。F12も含めての話だが、フェラーリの最新モデルは、どれもメーカー発表値での最高時速は300キロメートルを超え、停止時(時速0キロメートル)から時速100キロメートルにはいずれも3秒台で達してしまう。F12は最高時速340キロメートル以上、時速0→100キロメートルは3.1秒である。
絶妙なセッティング
ただ、想定をはるかに超えていたというものの、F12がすさまじく速いだろうというのはカタログ値などから事前にある程度、考えていた部分ではあった。エンジン、マフラーの音が官能的だったのもイメージどおり。一方、実際に運転してみると、まったく意外だったことに驚いた。F12は恐ろしく乗り心地がいいのだ。
乗り心地という概念は、人の好みによって解釈が分かれるところだが、記者の知るスポーツカーや一般車でもスポーツタイプに設定されている仕様はたいてい、路面の凸凹に対してゴツゴツする印象がある。
足回りやボディなどさまざまな要素があるので、一概に言えないが、これは簡単に言うとハンドル操作に対して素早く反応できるようにするため、「足回りが堅い」というセッティングになる。
一方、高級セダンになると、ややフワフワした乗り味が多い。路面の凹凸に対してゴツゴツさせないようにした「軟らかい足回り」というやつだが、車酔いしやすい人は意外と体が受け付けない場合もある。
あくまで記者の体感でしかないが、F12の足回りは堅くもなく軟らかくもない絶妙なセッティングなのである。交差点やカーブでハンドルを切ったら、これまたスパッと本当に思い通りに曲がる。ブレーキも強烈に効くし、制動の姿勢も安定している。ドライバーの操作の裏側で、さまざまな電子制御技術が働いており、多少運転が下手な人でも安全に速く走ることができそうだと感じた。