どちらも自信たっぷりである。しかし、善し悪しは別として、左右両説の決着は、残りの50%の「中の人」がどちらに傾くかで決まる。世論調査的には、現在やや左に振れているようだが、右のほうが、基礎票が多いので、まだわからない。
1カ月ほど前に筆者は、ある媒体で「麻生太郎財務大臣の辞任は不可避で、安倍内閣が保つ確率は50%くらい」「安倍内閣崩壊の場合、株価は日経平均で2000円安」といった趣旨の予想を述べた。当時としては、やや政権側に厳しめの予想だった。「2000円安」の理由は、安倍氏の後継として名前が挙がる、石破茂氏、岸田文雄氏、小泉進次郎氏のいずれも、これまでの言動が財政緊縮的で増税賛成に見えることだ。
現状では、当面この予想を維持するが、スキャンダルの出方と扱われ方が雑然としていて、肝心の「中の人」にやや飽きが来つつあるのではないかと思い始めている。
率直に言って、政権を倒すことを想像するには、現在の野党にあまりにも魅力がない。また、自民党内の後継候補達の利害を考えると、秋の総裁選までまだ時間のある現在、「安倍総裁3選反対」を鮮明にするにはリスクが大きい。先の3氏のいずれにも、そのリスクを取る胆力はないようにお見受けする。
「異性との問題」が起きたらどの程度高くつくのか?
安倍政権に案外耐久力があるのではないかと筆者が思うのは、目下話題になっているスキャンダルのスケールが小さくなってきたことと、安倍首相からより遠い問題に注目が移りつつあるからだ。
福田淳一財務次官のセクハラ問題による辞任は、事実の全貌がわからないのでまだ評価が難しい。だが、「ああいう言葉でマズイのなら、俺も危ないな」と思った「ビジネスオヤジ」は少なくないのではないか。
現代の基準で言うなら、上司・部下、取材対象・取材者といった何らかの力関係が存在する場合には、異性と2人で親密に食事に行く段階ですでにリスクを負っていると考えなければならない。相手の人柄や意図、そのときや将来の気持ちを正確に把握して、安全を確保することは困難な場合が少なくない。
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