名大・岐阜大「協議はトントン拍子」の舞台裏

見えてきた「大学統合」の理想と現実

豊橋技科大の大西隆学長は「うちは単科系の大学なので声が掛からなかったのでは。私大を含めてさまざまなレベルの大学間連携は進めているが、今回の構想は総合大学の事務連携というイメージで、特段の関心はない」とする。

名工大も「声が掛かっていないので、答えようがない」(広報室)。前身の名古屋工業専門学校時代から「名大と統合して名大工学部になるべきだ」という議論がたびたびあったが、独立を守ってきた経緯もある。

名大が昨今、ノーベル賞学者を多数輩出して「質・量」共に圧倒的な存在である中で、他大学からすればどうしても「吸収合併」、あるいは財政的な「救済策」として見られるだろう。大学としては職員組合との交渉や地元の政財界との調整も欠かせず、おいそれと乗れる話ではないのが現実だ。

「世界屈指の研究大学」に脱皮できるか

ある国立大学の学長経験者は次のように指摘する。

「どこもできれば一大学でやりたいのは当然。一方で国からの運営費交付金は減らされ、名大でさえ余裕はないはずだ。東海地方の複数大学の連携は、文科省出身の名大関係者が音頭をとるなどして、今まで何度も取り組まれてきた。事務の効率化ではトイレットペーパーやコピー用紙の共同購入というレベルでもある。しかし、企業の合併とは違って学生や研究者にどんなメリットがあるのか、よほど丁寧に説明され、対等の立場が保証されなければ、それ以上の連携にはとても踏み込めないだろう。今、中央がゴタゴタ状態の中で、文科省に長期的な展望があるかどうかも疑問だ」

名大は3月に文科省から「指定国立大学法人」の指定を受け、「世界屈指の研究大学」の理想を掲げた。今回はその戦略の一環としてのハードルを上げたハイレベルな統合という構図なのか、地域全体の生き残りをかけた呉越同舟となるのか。

他大学の動き次第でもあり、まだ見えにくい。はっきりしているのは、この統合を教育や研究の質を上げるモデルにしなければ、日本の大学は沈み続けてしまうことだ。

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