女性誌を支えてきたものの正体はコンプレックス
筆者は女性誌の編集者として、20年近く活動してきた。その経験から女性誌の根本を表現する言葉は「コンプレックス」しかないと感じている。女性誌はファッション、美容、ライフスタイルという3つのジャンルで構成されている。つまり、周囲の誰よりも「おしゃれで、かわいく、高感度高く、若く、イケていて、いい仕事をして、いい男と付き合って、いい夫と結婚し、幸せであり続けるリア充な私」でいるために役に立つ情報の提供をしているのが女性誌であり、これらの要素が「足りない」と劣等感を感じる女性が多いから、女性誌は存在し続けているのだ。
コンプレックスというのは、独身時代はある程度は自力で解消できる。しかし、結婚するとそうもいかない。夫の学歴や子どもの進路など、本人の努力の及ばない範囲もまた「自分の一部」として、世間に晒すことになるからだ。
今回、お話を伺った、一部上場の食品メーカーに勤務する嶋田由美子さん(仮名・43歳・年収700万円)は、まさにその代表的な人物だ。彼女は高卒の夫に不満を持ち、東大卒の男性とばかり不倫している都内在住の女性だ。
日本の最高学府と言われる東京大学出身の男性に限定して恋愛をする……筆者には、はたしてそんなことができるのだろうか、という疑問が生じた。しかし、東京大学の発表によれば、毎年、約3000人が卒業しており、例年の男女比は8:2だという。また東京大学は卒業生の総数も少なくない。1952(昭和27)年度~2016(平成28)年度までの卒業生は18万8490人もいる。人数から考察しても東京大学卒業者限定で不倫することは、想像よりも難しくないことがわかる。
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