「米朝首脳会談」は準備段階から非常識すぎる トランプ政権はまともに準備できるのか

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広報戦略について

首脳会談の記憶は、実際の内容よりも、世の中がどのような印象を持つかに左右されることが多い。だからこそ、ホワイトハウスはこの点に細心の注意を払っており、オンレコの声明からオフレコの情報提供、情報のリークに至るまで、あらゆる策を駆使して世の中の期待をコントロールしようとするものなのだ。

しかし、米朝トップ会談に向けてトランプ政権が一貫した広報戦略を持っているのかどうかは、まだはっきりしない。報じられている米朝会談の準備状況は、さまざまな政府関係者のリークと韓国側の説明が情報源になっている。

共同文書は見送られる可能性大

首脳会談に際し、世の中にどのようなストーリーを打ち出すのかを決めるのは、政権の仕事としては基本中の基本だ。そうした基本作業に関して、ホワイトハウスの焦点が定まっていないということは、次のどちらかを意味している。

ひとつは、トランプ政権ならではのハチャメチャな政策運営方針が機能しているということ。そうでないとしたら、政府が深刻な内部分裂を起こしているせいで、会談に向けてどのようなストーリーを描くのか、基本的なメッセージすら決められずにいるということだ。

世の中に対するメッセージという点では、共同声明が関心の的になることが多い。だが、米国と北朝鮮が置かれた現在の状況を考えると、共同声明のような文書の公表は完全に見送られるというのが、最有力シナリオだろう。

外交日程はチェスのボードと同じ

首脳会談を歴史的な一大イベントとして扱いたくなる気持ちもわからなくはない。だが、一つひとつの首脳会談は、それぞれが独立して成立しているわけではない。首脳会談を行うたびに、新たな展開や期待が生まれてくるものだ。優秀な外交官は、外交カレンダーをチェスのボードのように眺めている。

チェスの駒を走らせるかのごとく、1つの外交イベントが次にどのような動きに発展していくのかを計算しながら仕事をしているのである。“氷上のチェス”と呼ばれるカーリングにたとえるなら、1つの首脳会談だけを見て仕事をするのは、ゲーム終盤にかけての戦い方を考えずにストーンを放つようなものだ。

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